“2人に1人ががんになり、3人に1人がんで亡くなる”といわれている状況の日本。その中で罹患(りかん)者数、死亡者数が増加してきているのが「大腸がん」です。大腸がんの罹患者数(2019年)は、男性では前立腺がんに次いで第2位、女性では乳がんに次いで第2位、男女合わせると第1位が大腸がんで15万5625人です。大腸がんの死亡者数(2022年)は、男性では肺がんに次いで第2位、女性では第1位、男女合わせると第1位が肺がんで7万6663人、第2位が大腸がんで5万3088人です。それほどまでに大腸がんの罹患者、死亡者は増えているのです。

注目すべきは、女性の大腸がん死亡者数は第1位だという点です。女性の場合、女性特有のがんである子宮がん、乳がんへのイメージが強く、それはとても気にして検査を受けられます。ところが、大腸がん検査の「便潜血検査」「内視鏡検査」への注目度は低いのが現状です。ここにもっと注目して検査を受けることで、大腸がんの早期発見に結び付き大腸がんの死亡者は減っていくのだと思います。

そして、大腸がんの罹患者数が増えたのは、食事が大きく関係しています。日本人の食生活が欧米化していくにつれ、それに合わせて大腸がん患者さんが増えているというイメージです。高脂肪食の取り過ぎが大きいと思います。そのほかにはたばこ、お酒、ストレス、運動不足なども関係しています。今の状況をさらに悪化させないためにも、大腸がんを正しく知って早期発見に結び付けましょう。そうなると、私たちが行っている“身体に優しい内視鏡治療”で開腹することなく治すことができるのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)