“2人に1人ががんになり、3人に1人ががんで亡くなる”というのが日本のがんの状況です。罹患(りかん)数で多いのは、大腸がん、肺がん、胃がんで、死亡者数で多いのは肺がん、大腸がん、胃がんです。そんながんの中で、私は泌尿器科医として、「膀胱(ぼうこう)がん」に注目してほしいと思います。
膀胱がんは、尿をためておく袋状の臓器の膀胱に発症します。膀胱がんの罹患数は男女合わせて2万3383人(2019年)、死亡者数は男女合わせて9168人(2020年)。膀胱がんの罹患数は男性が女性よりも3倍も多く、死亡者数でも男性が女性より2倍多いのです。
実際、私どもを受診される患者さんを診ていても、男性患者さんが多く、70~75%だと実感しています。では、なぜ膀胱がんは男性の罹患数が女性の3倍も多いのでしょうか--。それは、膀胱がんの最大の危険因子である「喫煙」が大きく関係していると考えられています。男性はタバコを吸う人が女性よりはるかに多いから。また、「男性ホルモン」も関係しているからです。
そして、膀胱がんと診断がついた患者さんが最も気にされているのが、膀胱を取らないといけないときは、その代わりとなるストーマに袋のパウチをつけなければならない点です。人工肛門の尿道版といえます。これは、患者さんが手術までに何度か受診する間に、しっかり説明することで理解されています。これから30回、“男性に多い膀胱がん”を紹介しますので、しっかり知ってもらいたいと思います。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)
◆藤田和利(ふじた・かずとし)近畿大医学部泌尿器科講座主任教授。1999年(平11)、大阪大医学部卒業。医学博士。2006年より米国ジョンホプキンス大留学。24年より現職。日本癌学会評議員、日本泌尿器腫瘍学会代議員、日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会代議員。泌尿器科癌治療を専門とする。日本泌尿器科学会学会賞など受賞多数。

