「膀胱(ぼうこう)がん」が発症する膀胱は袋状の臓器で、尿を一時的にためておくところです。腎臓で作られた尿は、腎盂(じんう)、尿管を通って膀胱にたまります。尿がたまるとおしっこに行きたい感じになります。それが脊髄の神経を通って脳幹の排尿中枢に伝わり、大脳で判断が出ると膀胱を収縮させておしっこが出るのです。男性は膀胱の下に前立腺があり、尿道を通って排尿され、女性は前立腺がないので、そのまま尿道を通って排尿されます。

膀胱にためられる尿の量は人によって違いますが、成人では400~500ミリリットルくらいです。ただ、歳をとってくると100~200ミリリットルくらいしかためられなくなります。これは膀胱がんとは別の頻尿症状が出る「過活動膀胱」です。ただ、過活動膀胱と膀胱がんはまったく関係ありません。尿をたくさんためていると膀胱がんのリスクがあるかというと、そのデータはありません。また、少しでも尿を早く出した方が膀胱がんになりにくい、というデータもないのです。

前回、膀胱がんの原因として、「喫煙」を挙げました。もちろん、最も大きな原因は喫煙ですが、それ以外として、「結石」「慢性炎症」があげられます。膀胱に結石がある、慢性膀胱炎が長期間続くと膀胱がんの原因になることを認識してください。

そして、海外での珍しいケースです。これはエジプトに多い「ビルハルツ住血吸虫」による膀胱がんです。ナイル川で泳ぐと、ビルハルツ住血吸虫が脚の皮膚から侵入して腎臓で卵を産むのです。そして、膀胱で炎症が起きて慢性膀胱炎になると、膀胱がんを発症します。この膀胱がんはエジプト人の死因の上位となっています。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)