がんは早期発見が大事で、「膀胱がん」も同じです。膀胱がんのサイン「血尿」に気付いてしっかり対応した患者さんのケースを紹介します。

患者のA男さんは60代前半です。A男さんは血尿に気付くと“がんだったらどうしよう”と強い恐怖心に襲われ、翌日に私どもの泌尿器科を受診されました。A男さんの心配はかなりだったので、私は「『膀胱鏡検査』を行いましょう」と言いました。すると、A男さんはすぐに「お願いします」と。私どもの病院では、膀胱鏡の空きがあれば受診時に検査ができ、空きがなければ、予約をして別の日に検査となります。A男さんは予約をして膀胱鏡検査になりました。

膀胱鏡検査を行うときは局所麻酔を尿道から注入し、麻酔が効く4、5分後に尿道から膀胱内に内視鏡を入れます。直径6ミリ程度の柔らかい内視鏡を膀胱に入れ、膀胱の中にがんがないか観察します。検査は麻酔から15分くらいで終わります。この検査のときにがんがあっても切除することはありません。

A男さんの膀胱からは、直径1センチ程度の小さながんが見つかりました。そこで、後日、硬性の膀胱鏡を使って「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」を行いました。早期がんで小さかったので30分もかからずに手術は終了。A男さんは、「早期に発見でき、仕事に影響がなかったので、本当に良かった。血尿ですぐに来て良かった!」とうれしさいっぱいでした。

この後のチェックは、膀胱鏡検査を続けます。2年間は3カ月に1回、3年から5年までは半年に1回、5年から10年までは1年に1回で、10年で終了。このようにチェックするのは、膀胱がんが再発する方が多いからです。このチェックもしっかり受けましょう。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)