「血尿」に気付いて泌尿器科を受診すると、前回紹介した「尿細胞診」と「超音波(エコー)検査」が行われます。その結果、「膀胱がん」が疑われた場合は精密検査が行われることになります。それが「膀胱鏡検査」です。
膀胱鏡検査は、尿道から直径6ミリ程度の柔らかい軟性膀胱鏡を入れて膀胱の中を見ます。胃や大腸の内視鏡と同じようなものです。軟性膀胱鏡の先端はクルクル回るので、見たいところをすぐに見ることができます。検査時間はわずか5分程度で終わります。それでがんとわかれば、次の検査に進みます。
ただ、中には尿細胞診が陽性だったのに、膀胱の中にがんが見つからないということもあります。膀胱にちょっと赤いところがあるとか、膀胱がんがそこにはないと思っていても、あることもあるのです。それを「上皮内がん」と言います。
胃がんの上皮内がんは、前がん病変と言われます。ところが、膀胱がんの上皮内がんは、放っておくと「筋層浸潤がん」に進行し、膀胱を全摘しないといけなくなってしまうのです。だから、それを見逃さないようにしないといけません。膀胱内にがんが見えないのに尿細胞診で陽性の場合は、私たちは上皮内がんを疑って、「生検」という検査を行います。
ただし、生検は膀胱鏡検査のときに行うのではなく、別の日に手術室で行います。この時に使う膀胱鏡は膀胱鏡検査で使う膀胱鏡よりも少し太いものです。それで、何カ所から細胞を取り、がんがないかを「顕微鏡病理検査」で調べます。尿細胞診で陽性であれば最後までしっかり調べ、がんを見落とさないことが重要なのです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

