男性に多い「膀胱(ぼうこう)がん」は、局所進行がんになると膀胱を全摘する手術になり、膀胱の代わりを作ることに-。直腸がんが進行し、人工肛門を作るのと似ています。だからこそ、早期発見が重要です。今回は、その膀胱がんの進行度を知ってもらいたいと思います。

膀胱がんの進行度は、がんが膀胱壁の「粘膜」「粘膜下層」「筋層」のどこに達しているか、転移しているかで、「早期がん」「局所進行がん」「転移がん」の3段階にわけられます。

早期がんには「Tis」「Ta」「T1」の3つがあります。最もおとなしいのがTaで、がんは粘膜内に限局していて、あまり進行しないので、がんを削り取って治療は終了。Tisは粘膜の下をはうようにできる上皮内がんです。これは浸潤するとT1、T2と進むので注意して治療します。T1は、がんが粘膜下層までにとどまり、この段階までが早期がんです。

局所進行がんは「T2」「T3」があり、T2はがんが膀胱の筋層に浸潤しています。T3は筋層を越えて、周囲の脂肪組織に浸潤している状態です。がんが筋層まで達していると、手術の「経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)」では対処できません。局所進行がんになると、膀胱は取ってしまいます。ただし、膀胱を取りたくない患者さんには、放射線と薬物の併用療法で対応します。基本は、膀胱全摘術をお勧めしています。

そして、転移がんは「T4」です。がんが、リンパ節、前立腺、膣、腹壁、肝臓、骨などに転移している状態です。リンパ節だけの転移であれば、抗がん薬での治療を行った後に膀胱を摘出し、リンパ節を切除。結果、治る可能性があります。他臓器への転移となると、肝臓が最も予後が悪いのですが、あきらめることはありません。抗がん薬治療を行いますが、免疫療法などの新しい治療薬が出てきています。ただし、免疫療法が効くのは20%程度の方々です。その20%に入ると、免疫チェックポイント阻害薬により3年、4年、5年生存している方も出てきています。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)