「痛風」は、単に関節が痛む病気ではありません。そのもとには、尿酸値が高い「高尿酸血症」があります。尿酸値の高い人は、痛風以外に高い確率で合併症を起こすので、痛風の治療にはしっかり取り組みましょう。
痛風の合併症としては「腎障害」「尿路結石」「痛風結節」などがあります。まずは腎障害。高尿酸血症や痛風は動脈硬化を合併しやすく腎臓の血管に動脈硬化が起こると腎臓の働きが低下します。さらに痛風が重くなると腎臓に尿酸の結晶が沈着するようになり、一層腎機能が低下します。腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下すると「慢性腎臓病」です。それがさらに悪化して「腎不全」になってしまうと、血液をろ過できなくなり人工透析が必要になることがあります。
次に尿路結石です。尿酸値の高い状態が続くと尿中の尿酸の量が増加。そこに水分の摂取不足や尿が酸性に傾くことで、尿酸が尿に溶けにくくなって結晶化します。この結晶が集まって尿の通り道(尿路)のどこかに結石ができるのが尿路結石です。尿路結石は尿酸結石だけでなく、シュウ酸カルシウム結石も見られ、痛風患者の10~20%が尿路結石を合併しています。尿路結石の特徴的な症状は「痛み」と「血尿」。突然、背中から下腹部にかけて激痛が襲い、冷や汗が出たり、嘔吐(おうと)を伴ったりすることも-。この痛みは尿路結石による発作です。また、結石が動くと頻尿になり、結石が尿管を傷つけると血尿になります。
そして、痛風結節。これは尿酸塩結晶がたまり、こぶのようになります。できやすいのは手足の指の関節、膝や肘の関節、耳のふちなどで、痛風発作のような痛みはありません。ただ、痛風結節のところが破れることがあり、それで細菌に感染すると炎症がひどくなります。また、痛風結節が原因で骨が破壊されることもあります。痛風結節などの合併症になる人は、高尿酸血症が長期に及んでいるので、早くに専門診療科を受診するのが何より重要です。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)
◆市川奈緒美(いちかわ・なおみ) 東京女子医大膠原病リウマチ内科非常勤講師。1992年(平4)東京女子医大を卒業し、当時の東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センターに入局。痛風をはじめとするリウマチ性疾患の診療に従事。日本内科学会認定医・総合内科専門医。日本リウマチ学会指導医・専門医。

