「痛風」は、きちっと治療を行わないと合併症に苦しめられることも少なくありません。

B男さん(60代)はトラック運転手。40歳頃に右足の親指の付け根が腫れて激痛に襲われました。痛風発作です。その時は、自宅近くの内科医に鎮痛薬を投与されて発作は改善。その後、尿酸を下げる尿酸降下薬での治療が行われました。

ところが、B男さんは自分の判断で薬の服用を中断していたこともあって、痛風発作は年に2、3回起こる状況でした。そして、50歳を迎えたころ、右足の親指と左の肘に瘤ができたのです。さらに10年後の60歳ころには、右足の甲に腫れと痛みがでました。鎮痛薬でも痛みが取れず、歩行困難だけではなく、食事も摂れなくなったので病院に入院。B男さんの苦しみは、尿酸塩結晶がたまって瘤ができる「痛風結節」が破れ、細菌感染を起こして炎症がひどくなっていたのです。

点滴治療で感染症が改善した時点で、尿酸値は14 mg/dlと高かったため、尿酸降下薬が開始されました。しかし、開始10日目に発熱し、左足の甲、左膝、右足の親指、右手首と多関節炎が出現して、治療は困難を極めました。それで、B男さんは私どもの病院に転院になりました。

私たちがB男さんの状態を調べると、手足の指、肘、くるぶしに痛風結節があり、手足や膝など多関節に痛みと腫れを認めました。また、足のエックス線検査では、痛風結節とそれによる骨破壊像が診られました。

「慢性結節性痛風」の診断のもと、前の病院で使われていたステロイド薬にコルヒチン(痛風発作の緩解・予防薬)を併用し、尿酸降下薬を少量から開始。そして、尿酸値を5 mg/dl以下になるまで、ゆっくりと尿酸降下薬を増量しました。今は、尿酸値を3~4 mg/dlで維持。痛風発作は診られなくなり、痛風結節も徐々に小さくなっています。このような重症のケースも起こりますので、痛風を軽く考えず、「高尿酸血症」の初期段階から対応しましょう。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)