「痛風」患者さんの治療継続率は極めて悪いことは調査結果で分かっています。今回は患者のB男さんのケースを紹介します。

B男さんは40代のビジネスマンで、32歳の時から「高尿酸血症」を指摘されていました。でも、病院を受診することはありませんでした。34歳の時、右足の親指の付け根に痛みが出たのですが、2日くらいで自然に痛みは消えました。その後、痛みが起きることなく5年が経過。39歳の秋、突然左足の甲に腫れができたと思ったら激痛に襲われ、病院を受診。医師はすぐに痛風と診断し、発作中に使う「非ステロイド性抗炎症薬」を処方しました。薬によって約1週間で症状はなくなりました。医師からは「発作が改善した段階で受診してください」と--。ところが、B男さんは仕事が多忙で、受診しなかったのです。

そして、3年後の42歳の時、今度は右足の甲に痛風発作が起きたと思ったら、2週間くらいして左足の甲にも痛風発作が起き、歩行ができなくなり病院を受診しました。39歳の時と同じように、発作中は非ステロイド性抗炎症薬で痛みを抑え、発作が完全におさまってから「尿酸降下薬」での治療が開始。わずか2週間に2回の激痛発作が、B男さんの心を大きく動かしました。今は、自宅近くの病院で診てもらい、しっかり治療を続けています。

B男さんは39歳の時に初めて受診し、その後は通院を中断。そして、42歳時の痛風発作のあまりの激痛に「やっぱり治療を受けなければ」と思ったのです。治療を開始する時期が早いか遅いかで合併症にも大きくかかわってきます。B男さんは腎機能が少し悪かったのですが、それ以上の合併症はありませんでした。痛風発作は回数を重ねるごとに痛みの症状は悪化することが多くなります。また、痛風発作が治まったからといって治ったわけではありません。痛風発作の原因である高尿酸血症の治療をすることが大切です。(医学ジャーナリスト 松井宏夫)