心房細動では高血圧が60%、糖尿病が30%、75歳以上が15%以上を占めています。心房細動のある人が必ず脳梗塞になるわけではありませんが、こうした背景が発生率に大いに関係します。

CHADS2スコアという、心房細動患者の脳梗塞の起こしやすさを調べる方法があります。<1>心不全を起こしたことがあれば1点<2>高血圧があれば1点<3>75歳以上であれば1点<4>糖尿病があれば1点<5>今まで脳梗塞になったことがあれば2点加点。トータル6点満点で得点が高いほど脳梗塞リスクが上がるという、ありがたくない通信簿です。6点満点では、1年間で18%の脳梗塞発生率です。5人に1人は脳梗塞になる計算です。

恐ろしいのは、0点でも年間2%(50人に1人)は脳梗塞になります。これを少ないとホッとする人がいるかと思いますが、実はこれは年間発生率なので次年はさらに加算されます。まるで複利計算の借金ように脳梗塞リスクは増えて行きます。

気の進まない話をします。あるクリニックでの会話です。

医者 あなたは心房細動なので、血をサラサラにする薬を飲んでください。

患者さん 飲まないとダメですか?

医者 飲まないと、あなたは4点だから年に10%の確率で脳梗塞になります。

患者さん 飲んだら心房細動は治りますか?

医者 治りません。でも脳梗塞はイヤでしょう。

患者さん わかりました。飲んだら脳梗塞は大丈夫ですね?

医者 心房細動があるからずっと飲んでください。

患者さん 結局治らないんですね。

心房細動の脳梗塞評価スケールは治療の上では必須ですが、患者の未来を予言するだけで、治してくれるわけではありません。医者が、患者さんとどう向き合い、いかに治していくかにかかってきます。