プロの厳しさを思い知らされたゲームかもしれない。「いまの野球はブルペン勝負」。広島3連覇監督の緒方孝市(日刊スポーツ評論家)がいつも言うことだ。指揮官・藤川球児も「ブルペンがウチの心臓」という。この日はその典型だったのではないか。
両軍が投入した投手は総勢11人。その中で失点したのは2人、両軍1人ずつだ。阪神は先発の才木浩人が3失点。そしてヤクルトは2番手の丸山翔大だ。こちらは4失点である。それが勝敗を分けた。
中盤までは敗戦展開だった。懸念された森下翔太がスタメンから外れる。3番が佐藤輝明、4番が大山悠輔だ。はたして序盤、ヤクルト奥川恭伸は走者を置いた場面で佐藤を歩かせ、大山と勝負に出る。そして、それが成功していた。
才木は2回までに3失点。しんどい後半戦の開始になると思った。だが奥川が降板した途端、風向きが変わる。丸山の不調もあり、代打で出た森下が我慢の四球を選んで貢献。ここで近本光司、佐藤が仕事をし、流れが阪神に傾いたところで代わった3番手・阪口皓亮から大山が決勝打を放ったのである。
巨人が勝っていただけに意味ある逆転勝利だ。そんな中、少しだけ感じるのは「ガルシアなのか」ということだ。森下が出場微妙で勝手に予想していたのは右翼に佐藤輝明を回し、三塁に立石正広を入れたスタメンである。
打順はともかく森下の代わりは立石と思っていた。打撃は本調子とは言いがたいが大学時代から慣れた三塁守備につけば好影響もあるかと思うからだ。
だがガルシアだった。もちろん誰をどう起用するかは監督の専権事項。どうこう言えないが思い出すのは入団発表時だ。7月21日に入団が発表されたガルシアに対し、球児はこんなことを言っていた。
「一つでもチームに、1日でも貢献してくれればいいというのが今のガルシア選手の立ち位置かな。期待しすぎたらかわいそう」。本当にそう思っているのなら皮肉でなく、ここでスタメンなのかな、とは思ったのである。
「敵を欺くにはまず味方から」なのか。それならそれでいいのだが、この日を見る限り、簡単ではない気はする。いずれにせよ厳しい戦いが続く中、選手、ベンチが束になってかからなければ勝ち抜けないとあらためて思うのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




