創部史上初の甲子園出場を目指す明大中野(東東京)が21日、甲府工(山梨)と国士舘(西東京)と練習試合を行った。昨秋からチームを率いる佐藤晃平監督(39)は初めての夏を迎える。

監督就任は突然だった。昨夏の東東京大会で敗れた2日後、新チーム始動の日に岡本良雄前監督(58)から後任を打診された。それまで助監督として岡本前監督を支えてきたが、準備期間はほとんどなかった。さらに教員として勤務しているため、毎日グラウンドに立つことは容易ではない。学校がある中野区からグラウンドまでは距離があり、平日は午後5時の練習開始に間に合わないことも多い。業務を終えて到着する頃には、午後7時近くになっている日もあるという。

監督不在の時間をどう埋めるか-。その答えとして選んだのが、選手主体のチームづくりだった。「この山に登れとは言います。でも、登り方は自分たちで考えさせる」。練習の目的やテーマといった大枠は監督が示すが、その日に何を行うのか、どんなメニューで課題を克服するのかは選手たちが話し合って決める。

中心となるのは主将の近藤友樹内野手(3年)。「自分たちで考えることが多い。練習メニューもみんなで話し合って決めていて自主性が高いです」。自主練習も盛んで、冬場は週5日ペース。現在も週1日は自主練習の日を設け、それぞれが練習に取り組む。佐藤監督は「見ていない時間も多いので、自分たちで責任を持ってやろうという意識させている」と、選手に責任感を与えている。

もっとも、就任1年目の指揮官は手探りの日々を送る。「今のチームが夏までにどんな状態になったら、どんな結果になるのかがまだ分からない」と率直に語る。それでも成果は少しずつ表れている。春季大会でシード権を獲得し、この日の練習試合も2試合とも快勝。佐藤監督は「4月のテスト明け以降、1度も負けていないんです」とチームの成長に目を細める。「今日も守備が安定していた。こういう野球を本番でもできれば」と手応えを口にした。

目指すのは派手に打ち勝つ野球ではない。「どこが相手でも自分たちの野球をやるだけ。ロースコアでも粘り強く勝っていきたい」。新人監督と選手たちが、自ら考えて積み上げてきた夏がまもなく幕を開ける。【栗林真菜】