「サンディ」は元気だった。レッドソックスのパトリック・サンドバル投手(29)が、24年5月7日以来、約2年3カ月ぶりの白星を手にした。8月4日のホワイトソックス戦に先発し、5回6安打2失点。大量得点にも守られ、左肘の手術から復帰後5試合目で、819日ぶりの1勝をマークした。
7月31日のドジャース戦、サンドバルはビジターのクラブハウスで顔なじみの日本人記者を見つけると、「Good to see you(会えてうれしいよ)」と快活にあいさつを交わし、がっちり握手で満面の笑みを見せた。ドジャース大谷翔平投手(32)とエンゼルス時代に仲良しだった左腕。「サンディ」の愛称でファンに親しまれた。
“あの時”から2年以上がたっていた。「やっと戻れたよ」。24年6月21日のドジャース-エンゼルス戦、サンドバルはド軍に移籍した大谷と公式戦で初めて対戦した。カウント3-2から、高めに直球が浮いた。その直後、苦悶(くもん)の表情を浮かべ、左腕はもう、振れなかった。緊急降板。後に、トミー・ジョン手術(左肘側副靱帯(じんたい)の再建術)を行う大けがだった。
リハビリは思った以上に厳しい道のりだった。「2年と少しかかった。3回、セットバック(後退)したんだ。上腕二頭筋の炎症が何度も起きた。復帰に近づいては、投球ができなくなることの繰り返し。精神的に削られた」。最もつらかったのは「時間がかかったことかな」と、約25カ月にも及んだメジャー復帰までの期間が長く感じたという。
苦難を乗り越え、笑顔が戻った。取材を受けていたクラブハウスのロッカールームでは“思い出のソックス”をうれしそうに見せてきた。上部に小さく「17」と刻印された5本指の白ソックス。「ショウヘイがたくさんくれたんだ」と、うれしそうに手にとった。ブルペン投球時と、試合で登板する時に使用しているという。
24年シーズンオフにフリーエージェント(FA)となり、レッドソックスと契約した。在籍2年目、チームは前半戦で苦しんだが、15連勝など快進撃で一気に上位に食い込んできた。サンドバルは「素晴らしい仲間たちで、結束力がとても強い。エネルギーがあるし、チームの一員になれて本当に楽しい」。ポストシーズン進出へ、勢いづくチームを支えている。
前回のドジャースとの3連戦では登板機会がなかった。大谷とは連絡を取り合っているのか、「少しね。インスタグラムでやりとりしたり、そんなに頻繁ではないけどね」と明かした。大谷がドジャースに移籍してから約2年8カ月。サンドバルは、「17」が刻印された5本指ソックスでマウンドに上がり、腕を振る。苦楽をともにした盟友とのつながりを、今も変わらず、大切にしている。【斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)




