【グレンデール(米アリゾナ州)18日(日本時間19日)=四竈衛】大谷が「新魔球」習得へ-。ドジャース大谷翔平投手(30)が、今キャンプ2度目となるブルペン投球を行った。速球主体の計21球中、今オフ取り組んでいる「パワーシンカー」気味のツーシームを3球織り交ぜた。5月前後と見込まれる「投手大谷」の復帰へ向けて、万全の準備を進めていく。

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捕手に対する球種伝達の手ぶりは、これまで通りのツーシームでも、軌道はまったく異なっていた。ノーワインドアップの新フォームから、大谷が力強く腕を振った球は、高速を維持したまま、鋭く約20センチ沈んで捕手のミットに収まった。23年まで在籍したエンゼルス時代も時速100マイル(約161キロ)の快速ツーシームを投げていたが、軌道は右打者の内角をえぐるような、横へ滑る「シュート系」だった。ところが、25年バージョンは鋭角に沈み込む「パワーシンカー系」。打者の左右を問わず、間違いなく空振りが取れる球種に、劇的に進化していた。

間近で見守ったロバーツ監督は、練習後、同州スコッツデールで行われた「メディアデー」で印象を口にした。大谷の「新魔球」について「彼はツーシームに関しては、横の動きではなく、深さ、奥行きを求めている。これまでと違うところだと思う」と、大谷の意図を解説した。投球全体に関しても「良かったね。今の段階は、気持ちが強くなることが翔平には最も大事なことだ」と、ここまでの順調なペースに頼もしそうな表情を浮かべた。

昨季、打者としてメジャー史上初の「50-50」を達成した大谷も、投手のタイトルには、まだ手が届いていない。今オフはノーワインドアップだけでなく、左手のグラブの動きを修正するなど、レベルアップへの意識は高い。すでに2度のトミー・ジョン手術を受けており、もし将来的に3度目の手術をすれば、投手としての選手生命にも黄信号がともりかねない。年齢的に30代を迎え、少しでも球数を減らす上でも他球団のデータにない「新魔球」が増えれば、大きなプラスとなることは間違いない。

投球だけでなく、打撃、走塁のメニューをこなすだけに、首脳陣も細心のケアは怠っていない。ロバーツ監督は、投球翌日の19日は「彼はリラックスデー。体を休める」と、休養最優先の方針を明かした。打者としてのオープン戦出場は、2月下旬となる見込み。慎重な調整の一方で、常に進化を求める大谷の貪欲な姿勢は変わっていない。

◆大谷の球種 MLBの「スタットキャスト」による分類では23年の多い順でスイーパー、フォーシーム(直球)、カットボール、スプリット、シンカー、カーブ、スライダーの7種類。近年の米国では、シンカーは落ちる落ちないにかかわらず「ツーシーム」と同義。米国には「シュート」という言葉がなく、「シンカー」が日本でいうシュート、シンカーの両球種をさす。大谷は22年の途中からシンカーを投げ始めた。昨季のMLBでシンカーの最高の使い手はスキーンズ(パイレーツ)。日本では金子千尋が球速が速く、変化が小さいシンカーを「パワーシンカー」と呼んでいた。

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