17年、ソフトバンクに新風を吹き込んでくれそうなのが真砂勇介外野手(22)。昨年11月にメキシコで行われたU23(23歳以下)ワールドカップ(W杯)では4番として4本塁打を放ち、初代王者に貢献。大会MVPにも選ばれた。その自信を胸に5年目の今季、一気に1軍定着を目指す。ギータ(柳田)のように飛ばす右打者ということで「ミギータ」と名付けられた若鷹に、たっぷり本音で語ってもらった。

 U23でMVP。侍の「弟分」の4番で4本塁打。真砂の名前が一気に知れ渡り、期待度を上げた。

 「すごい自信になった。2軍でも4番はなかった。一番よかったのは韓国戦ですかね。7回に同点の本塁打。今までならガチガチになっていた。力まずに1球で仕留められた」。

 成長のきっかけはケガだった。昨春、守備中にケガをした。左足先を突き、曲げることも歩くことも困難となり2カ月弱、リハビリ生活を続けた時だった。

 「自分を見つめ直す時間になりましたね。伸ばさないといけないのは打席での確実性。今までは力が入っていたところをリラックスして打ってみようと思った」

 力まないで結果を出そうとする姿勢が成長させたのか、昨年9月に2度、1軍に昇格。試合出場はなかったが、空気感を肌で感じた。

 「今まで見えてこなかったビジョンが見えてきた。年俸も期待料で50万円アップしてもらったし。1軍には夢があるなと思いましたね」

 NPBからはウエスタン・リーグの「ビッグホープ賞」として表彰もされた。

 「表彰式前日の午後8時の飛行機に乗ることになっていたんですが、完全に忘れていて。午後10時30分の寮の点呼時に寮長から『お前、何でいるの? 東京やろ?』って言われて初めて思い出して。翌朝、早朝に東京行ってなんとか間に合いましたけど(交通費が)自腹になってしまいました」

 失敗も豪快に笑い飛ばす明るさがある。両親は中国出身で日本へ移って来た後、真砂は生まれた。

 「母は日本語を覚えたんですけど、父はほとんどしゃべれない。僕は中国語は話せない。11歳上の兄は両方できるので通訳してもらいます。普通に両親と話せるのが、うらやましかった。僕が中国語を覚えるのが一番早いんですけどね。すごい迷惑をかけた部分もあったから、恩返し、親孝行をしたい。自分が晴れ舞台でやっているところを見てもらいたいですね」

 晴れ舞台を勝ち取るためにも、5日からは柳田に誘われ米国・グアムへ自主トレに向かう。

 「糸井さん(阪神)も来ますし、見て勉強することがいっぱいあると思う。今年がダメならもう先はないというくらいの覚悟でやります」

 2月の宮崎キャンプが楽しみだ。【取材、構成=石橋隆雄】

<真砂勇介アラカルト>

 ◆生まれ 1994年(平6)5月4日、京都府生まれ

 ◆経歴 向島藤の木小4年の時、向島ベースボールで捕手として野球を始める。槇島中では木津川シニアで捕手で4番。西城陽では1年秋から4番。甲子園出場なし。高校通算52本塁打。怪力で新品の金属バットをへこませたことも。12年ドラフト4位でソフトバンクへ。入団会見で「3冠王」宣言し当時の秋山監督を驚かす

 ◆身長 184センチ

 ◆体重 81キロ(高校時から3キロ筋肉量アップ。もともと太りにくい体質)

 ◆視力 左右とも1・5

 ◆足のサイズ 28.5センチ

 ◆血液型 B

 ◆投打 右投げ右打ち

 ◆50メートル走 5秒64

 ◆遠投 105~110メートル

 ◆家族 父達雄さん、母栄子さん、兄成夫さん(達雄さんは中国国籍、母子の国籍は日本)

 ◆趣味 ゴルフ(スコアは110前後)

 ◆好きな女性のタイプ 家庭的な人。一緒に運動できる人。休みの日にゴルフとかランニングをしたい

 ◆愛称ミギータ 藤本さんにつけてもらいました。名前と全然かぶってないんですけどね。

 ◆ライバル 釜元さん、上林(ずっと一緒に2軍でやってきたので)