1本のアーチが、宮城・南三陸町を沸かせた。楽天岩見政暉外野手(27)が5日、南三陸町平成の森球場でのイースタン・リーグ巨人戦に途中出場し、今季第1号の左越えソロ本塁打を含む2安打2打点と躍動した。

試合は2-2の引き分けだったが、持ち味の打撃で存在感を示した。

代打で登場した3回2死満塁、投手への適時内野安打で1点差に追い上げると、1点を追う6回1死での第2打席は、巨人高橋優貴投手(25)の高めに浮いた変化球を強振し、左翼芝生席に放り込んだ。球場全体から拍手が起きる中、ダイヤモンドを1周。「何回も機会があるわけではないので、打てたのは僕もうれしい。ファンの方に(ホームランボールを)受け取ってもらえて喜んでもらえた」と振り返った。

この日は2097人が観戦。年に1度の開催であり、熱気が球場全体を包んだ。岩見は「3年ぶりの開催を喜んでくださっているとグラウンドにいても伝わってきた」。楽天イーグルス南三陸町応援協議会の小坂克己会長(65)は「地元で開催することは1軍が仙台で試合をするのと違った意味合いがある。この町でプロ野球をしてくれてありがたい」と感謝した。

「楽天イーグルス平成の森球場」の愛称がある同球場。以前まで芝生席だった内野席は、楽天生命パークで使用されていた座席を設置。7回攻撃前には「がんばろう東北 南三陸町」と記された応援ボードを掲げ、選手を後押しした。小坂会長は「震災からずっと球団には気を配っていただいて今がある」。球団とのつながりが今後も続くことを願っている。【相沢孔志】

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