元阪神、ロッテで日刊スポーツ評論家の鳥谷敬氏(41)が23年セ・リーグの行方を占った。1位には昨季2位のDeNAを予想し「計算できる中継ぎの枚数が増えた」と戦力バランスを高評価。古巣阪神はドラフト1位森下、新外国人ノイジーら新戦力を「まだ未知数」とした上で、2位予想ながら「アレを狙える」と期待した。【聞き手=佐井陽介】

◆セリーグ予想

1位DeNA

2位阪神

3位ヤクルト

4位巨人

5位広島

6位中日

DeNAは大物メジャーリーガーのバウアー投手を獲得したばかりですが、彼がいなくても順位予想は1位でした。投手陣にケガ人が出ていたり、大黒柱の今永投手がWBCから帰国直後だったり、開幕スタートだけを考えれば不安材料がないわけではありません。ただ、野手陣の成長や若手の台頭もあり、トータルではバランスの取れた戦力が出来上がりつつあります。

まず救援陣の安定感アップが大きい。以前は守護神の山崎投手につなぐ前に逆転されてしまうケースも目立ちましたが、昨季は計算できる中継ぎ投手の枚数が増えた印象です。これまではシーズン途中のケガ人続出で落ちていくパターンも見受けられた中、今年はチーム全体としても戦力の層が厚くなっている。たとえばショートであれば森選手、大和選手に中日から京田選手も加入。2位だった昨季からのプラスアルファが大きいと考えます。

阪神はまだ未知数な部分が多いと感じます。オープン戦を見る限り、今年もどんどん得点を重ねていける雰囲気ではない。好調のドラフト1位森下選手にしても、今はまだ「どこを打てるか打てないか」を試されている段階。今のところ左翼は新外国人のノイジー選手、右翼は森下選手がスタメンに収まりそうですが、ショートも含めて3つのポジションが未知数という点には不安が残ります。

ただ、阪神には12球団屈指の投手力がある。守備面を重視する岡田監督の就任で、課題の守備力も徐々に改善されていくでしょう。そもそも岡田監督は「采配で1、2点上積みすればいい」という考え方。未知数な部分に計算が立ち始めれば、もちろん18年ぶりの「アレ」を狙える戦力です。

ヤクルトは元守護神マクガフ投手の退団が響きそうです。仮に昨季までセットアッパーを任されていた投手が守護神に回った場合、今度は中継ぎ陣に不安が生まれる。昨年の阪神がそうでしたが、後ろが固まらないと負けが込んでくるもの。リーグ2連覇に貢献した清水投手らの疲労蓄積も心配され、新たな中継ぎ投手の台頭が必要不可欠ではないでしょうか。

巨人、広島は投手陣に不安が残ります。巨人は先発投手の枚数が足りず、守護神大勢投手につなぐまでの中継ぎ陣にしても、上位予想の3チームと比べると心もとない印象です。広島は右肘手術明けの森下投手、腰の張りを抱える守護神栗林投手の状態が心配。中日は現状、まだ若い野手をイチから育て上げようとしている段階だと考えます。(日刊スポーツ評論家)

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