ボクシングWBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が今秋開幕する、階級の最強選手を決める賞金争奪トーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)1回戦で、元WBA同級スーパー王者の同級4位フアンカルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)と対戦(初防衛戦)することが決まった。20日(日本時間21日)、ロシア・モスクワで開催されたWBSS抽選会に出席し、自らパヤノを指名した。試合日時、会場は後日発表となる。

 現地時間午後9時にモスクワのロシア・シアターで始まった華やかな抽選会。レッドカーペットを歩いて会場入りしたグレーのスーツ姿の井上は「モンスター」と紹介され、他7選手とともに登壇した。先に第1シードのWBAスーパー王者バーネットに元5階級制覇王者ドネアを指名されたため、第2シードとしてパヤノを相手に選択した。

 「一番戦いたかったのはドネア選手だったがバーネット選手に先に選択されてしまったので、元スーパー王者で実績のあるパヤノ選手を指名した」と振り返るが、相手にとって不足ない。井上よりもリーチが5センチも長い169センチで「ベビー・パッキャオ」の愛称を持つ。「キャリアはある選手なので、そこは気を抜かずにしっかり戦いたい」と、まず初戦突破への意識を高めた。

 空位となるWBC以外の世界王者がそろったトーナメント。1回戦は現役王者がシードされたが、準決勝以降の組み合わせ方法は未定で、団体統一戦になる可能性が高い。「日本では統一王者も、トーナメントに出る選手も少ない。他の日本人王者とは違うステージに来られたことを誇りに思います」と感慨深げ。WBSSが世界のファンから注目されていることを肌で感じた抽選会でもあった。

 井上 ファンが望むKO決着はもちろん、さらに評価を上げるような試合を世界中に発信したい。また準決勝、決勝とすべてKOで優勝を果たしてバンタム級最強を証明したい。

 「天下一」の称号を手にするため、まずはパヤノ戦に集中する。

 ◆ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ 昨秋からスーパーミドル級とクルーザー級で初開催された各階級の最強選手を決める賞金争奪トーナメント。リチャード・シェイファー氏、カレ・ザワーランド氏の米独両プロモーターが企画し2階級とも8選手が出場。ファイトマネーが高額な中・重量級のため、賞金総額5000万ドル(約55億円)、優勝賞金1000万ドル(約11億円)だった。シーズン2として今秋からバンタム級、スーパーライト級で開催。