東前頭3枚目の遠藤(26=追手風)が3日連続で大関を撃破した。琴奨菊の当たりを完全に止めてから、はたき込み。昭和以降、平幕力士が3日連続で大関を倒すのは13年初場所の安美錦以来16例目の快挙となった。勝ち越せば新三役が見えてくる今場所。今日5日目は昨年初場所以来となる横綱戦で、日馬富士に挑む。

 びくともしなかった。1歩も下がらなかった。馬力自慢の大関の当たりを、遠藤は立ち合いで完全に止めた。「馬力負けしないようにしっかり当たって、あとは体が自然に動くと思ってやりました」。下半身から出る力が、伝わった。

 止めたことで、琴奨菊の上体が起きた。瞬間、右手で後頭部をはたいた。ご当所の大関よりも大きな歓声を受けて立った土俵。わずか1秒2の相撲の中に完全復活の兆しがあった。何よりも、3日連続で大関を打ち破った。平幕では13年初場所の安美錦以来、16例目。「うれしいです。(立ち合いの角度が)結果的に良かったと思います。うまくいっている」。白鵬の1000勝に豪栄道の綱とり、高安の大関とりと話題豊富な九州場所で、屈指の人気力士が割って入ってきた。

 昨年の九州場所は歯がゆい思いしかなかった。直前の秋巡業で右足首を負傷。無理をして出た本場所でさらに悪化させた。「1年間、それでいっぱいいっぱいだった。目標だった役力士にもなっていない」。昨年春場所でけがした左膝と、交互に痛む悪循環だった。

 あれから1年。痛み止めを打ってまで出ていた8月の夏巡業を経て、秋場所で13勝。そして、10月の秋巡業では早い段階で稽古土俵に上がった。「最初に(14日の)豊橋で土俵に上がったんです。でも、誰にも買われなくて終わった。1日損したわと思いました」。そう笑えるほど、心身は回復していた。「完全ではない」としつつも「やっと1年前の(けが前の)感覚に戻った感じ。1年、棒に振ったけど」。時が戻った。

 海に面した石川県穴水町が故郷。子どものころは祖父勇さんの船に乗って海に出た。「じいちゃんと3時間、よく釣りに行っていました。四股を踏めるかなと思って船の上で踏んだこともありました」。元来、強くてしなやかな下半身を持つ。その力が、2年ぶりの上位戦で輝いている。勝ち越せば新小結も見えてくる。「毎日、しっかりやるだけです」。5日目の横綱日馬富士戦。2年半ぶりの金星の予感も漂う。【今村健人】