自ら脚本を手がけるオリジナル作品を追求する吉田恵輔監督が、映画館で見なければならない強烈な1本を、またも世に送り出した。

上谷拓海は15年前の夏、花火遊びで隣のアパートを全焼させたトラウマから引きこもっていたが、火事で妻子を失い自らも大やけどを負った被害者・埜本潤と再会する。土下座すると、想像だにしないほど温かく包み込んでくれたことで、行動をともにするようになり、急激に前向きになっていく。一方、拓海と火事を起こした益子龍之介は、アーチェリーに打ち込むことで罪の意識を封印し、五輪の代表選考を控えていた。その中、拓海に引き合わされた埜本から感じた不気味なまでの優しさも、埜本に触発され被害者への謝罪にのめり込む拓海にも違和感を覚える。

タイトルのmentor(メンター)は指導者、助言者を意味する。人生をメチャクチャにしたはずの拓海を許しきったと言っても過言でない埜本を演じた綾野剛、埜本をメンターと位置付け、執着する拓海を演じたAぇ!Group末澤誠也の姿からは、違和感を超えた不気味さを感じる。特に、個人として初の映画主演を務めた末澤の、土下座をはじめとした熱演は、今年の日本映画界における1つの発見との声も聞こえてくる。

そんな2人を、引いた視線で見つめる龍之介の目線は、観客のそれと一致する。演じた磯村勇斗の淡々としつつ、時に皮肉さ、冷たささえ感じさせるツッコミが、2人の怪演を一層、引き立てる。そして不気味ながら、思わず笑ってしまうラストシーンは、吉田監督の、さらなる進化を強く感じさせる。【村上幸将】

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