女優深田恭子(38)が「適応障害」の治療のため芸能活動を休止し、フジテレビ系の7月期主演ドラマ「推しの王子様」(木曜午後10時)を降板した。深田の代役は比嘉愛未(34)に決まった。「適応障害」はストレスなどから心身が変調し、社会生活に支障をきたす病気。ストレスが解消されれば症状は改善されるので、比嘉に任せて、適切な治療と十分な休養を取ってほしい。深田が所属するホリプロは老舗プロダクションだけあり、素早い対応は的確だった。
ドラマや映画、舞台ではさまざまな理由で代役が立てられることがある。病気が理由のケースだけでなく、事件による代役も多い。記憶に新しいのが、沢尻エリカ。19年11月に、合成麻薬「MDMA」の所持で麻薬取締法違反で逮捕された。20年のNHK大河「麒麟がくる」の重要な役どころで、すでに10話分の登場シーンが収録済みだった。NHKは代役を川口春奈に決定。収録済みのシーンを撮り直した。さらには放送開始日をずらすなど、大きな影響が出た。
NHK大河では、これ以外に、74年の「勝海舟」で主演の渡哲也が腹膜炎で降板し、第10話から松方弘樹に交代した。15年の「花燃ゆ」では、広末涼子が第3子妊娠で出演を辞退。鈴木杏が代役となった。また19年の「いだてん」では、番組開始後に出演者のピエール瀧が麻薬取締法違反で逮捕され、三宅弘城が途中から代役となった。
伝説となった代役もある。13年5月の舞台「おれのナポレオン」(作・演出=三谷幸喜)で、ヒロインの天海祐希が心筋梗塞で倒れた。急きょ、宮沢りえが代役となった。膨大なセリフと演技をわずか2日で覚えて、見事に穴を埋めた。主演の野田秀樹と、代役であることをにおわせるアドリブを披露するなど、観客の喝采を浴びた。後日談で、演出の三谷氏と2人っきりで猛特訓したことを明かしている。
このほか、悲しい代役もあった。国民的コメディアンの志村けんさんが山田洋次監督の映画「シネマの神様」で、菅田将暉とW主演を務める予定だった。しかし、志村さんは昨年3月29日に新型コロナウイルス感染症のため死去した。「映画を完成させることが1番の供養」と、かつて数多くの番組で共演した沢田研二が代役を務めた。
音楽界、それもNHK紅白歌合戦でも歴史に残る代役がある。52年(昭27)の第2回紅白(ラジオ放送)で、出演者の松島詩子がタクシーでNHKに向かう途中、タクシーのタイヤが都電のレールに乗ってスリップし、反対側から来た電車と正面衝突した。一報を受けたNHKは、家でくつろいでいた越路吹雪に急きょ出演を要請。初出場となった越路は「ビギン・ザ・ビギン」を歌い、代役を無事果たした。
いずれにせよ、代役は代役なりに、いろんな意味で重圧がかかるもの。比嘉だけでなく、未来の代役の方々にもぜひ頑張ってほしい。【笹森文彦】



