政界地獄耳

コロナもオリンピックも政治ショー化/政界地獄耳

★東京オリンピック(五輪)の延期は周到に練られた政治ショーだった。新型コロナウイルス、五輪延期、自民党総裁任期、東京都知事選挙、経済危機。これをシャッフルしてどう政局の主導権を首相・安倍晋三は得ていくか。自民党ベテラン議員が言う。「首相はメディアや与野党から後手後手と言われた新型コロナウイルス対策が世論調査で支持率アップにつながったことに味をしめた。再び官邸主導を取り戻したといえる」。

★米トランプ大統領の「アベは近く決断するだろう」という発言は第1のシグナル。第2のシグナルは五輪組織委員会会長・森喜朗の「延期しないというほど愚かではない」。いずれも延期了解のサインだった。ここから首相は非常事態宣言の構えを見せながら大型補正予算の大盤振る舞いに突き進む。不安を抱える放送局、電通、スポンサー、ホテル、晴海の跡地利用マンション業者、幅広く五輪関連への対策の補正を打って景気の下支えをすることになろう。すでに震災復興五輪から新型コロナウイルス克服五輪の様相だ。

★今年予定通り開催と言っていた時点で感染者数が北海道に次いで多かった東京都は五輪開催延期やむなしの23日になり突如、感染者数が激増。もう感染者数を少なく見せる必要がなくなったからではないかとまで言われたが、延期になれば都知事・小池百合子は7月5日の知事選に向けて走るだけだ。ここでも政府の補正予算での財政支援と犬猿の仲の自民党都連が支援するというお土産付きで官邸主導に花を添えた。加えて、首相は補正予算をたっぷりばらまいた後、今年の秋、年末、来年冒頭と解散総選挙のチャンスをつかんだ。これで4選も視野かと思われるが、以前、中曽根政権で使った手法、1年延長という声を党内から出させるのではないか。全部解決、みんなハッピーという机上のプランだが、コロナウイルスの猛威との闘いのプランがすっぽり抜けている。そううまくいくだろうか。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

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