政界地獄耳

【政界地獄耳】公約頓挫の横浜市、素人市長生んだ政党など別の意味で注目

★前首相・菅義偉の退陣の引き金にもなった昨年8月の横浜市長選挙でカジノ誘致反対を掲げて元国家公安委員長・小此木八郎らを破って初当選した市長・山中竹春にとって初めての22年度予算案の一般会計は約1兆9700億円となった。巨大な予算を抱える政令指定都市の大型予算だが、山中が公約としていた3つのゼロ、「75歳以上の敬老パス自己負担ゼロ」「子ども(0歳~中学生)の医療費ゼロ」「出産の基礎的費用ゼロ」と「中学校の全員給食」はいずれも予算化を見送る模様だ。

★立憲民主党の推薦、共産党、社民党、緑の党、新社会党に連合神奈川と事実上の野党統一候補としての支援を受け初当選したが、いずれも各党などが掲げる政策を押し込んだ形の選挙戦で、有権者のカジノ誘致中止はかなったものの3つのゼロと政令指定都市規模では珍しい中学の給食の実現を期待したが、早くも頓挫した模様。表向きはコロナ対策優先だが、年間150億円程度が必要な公約の予算捻出にそもそも現実性がなく、選挙中から「できもしない政策」と陣営内でも懸念され問題になっていた。今回は少しでも実現に近づける努力さえ見られなかった。

★これを報じるメディアは「最大会派の自民党に配慮」との見方を強めるが、そもそも二元代表制の市長と市議会で構成される議論で野党が支持する市長が生まれれば議席の多い自民党との間で議会はねじれる。それを想定しての公約を果たそうとしない元大学教授の素人市長をとがめても無駄ということか。それならばこの市長を生んだ政党などはありとあらゆる知恵を授けて公約実現に奔走すべきではないか。これでは当選させたら後は知らないということになりかねない。昨年注目を集めた横浜市は今度は別の意味で注目を集めそうだ。(K)※敬称略

政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

おすすめ情報PR

社会ニュースランキング