★さすがに「職務ではなく私人として国歌を歌唱したもの」として3等陸曹に責任を押し付けるばかりでは現場が持たないと判断したのか、15日の衆院内閣委員会で防衛相経験もある官房長官・木原稔は「法律に違反することと、政治的に誤解を招くようなことがないかは別問題だ。その点はしっかりと反省すべきだと考えている」「実際には法的に問題はなくても、政治レベルの政務3役あるいは官房長・事務次官であったり、そういうところまで上がっていれば、また別の判断があったかと思う」と幕引きに向け落としどころを模索し始めた。16日の衆院本会議で防衛相・小泉進次郎も「幹部への報告や情報共有について反省すべき点があった」と組織論にすり替えはじめた。

★そもそも森友・加計疑惑に揺れた安倍内閣で首相夫人・安倍昭恵の関与が疑われた時、同内閣は「安倍夫人は私人」と閣議決定した。「私人であれば罪はない」の発想はそこから来ているのか、それどころか「上官の命令は絶対」を前提にすれば陸幕長の会見での説明などの発言は現場の隊員や当該3等陸曹への圧力になりかねない。まさにシビリアンコントロール(文民統制)が問われる事態と言える。自民党関係者は「首相どころか全員が誰が来て国歌を歌うなど知らなかったという党大会などありえず、また知人だか代理店だかに頼まれれば制服着てホイホイ歌うのは上からの命令がなければ起こりえないだろう」と国民の多くの気持ちを代弁する。

★野党議員が言う。「反高市が増えている参院自民党の協力を得て何も知らないと言い張る防衛相、とぼけている陸幕長ら関係者を参考人として国会に呼んだらいい。本当なら自民党幹事長も呼びたいぐらいだ」と鼻息荒い。自民党議員は「そんな雰囲気なら首相は防衛相のクビを飛ばし、防衛相は陸幕長のクビを飛ばして幕引きにするだろう。木原発言にはそんな含みがある。木原も現場の隊員たちを守らなくてはとの思いがあるのだろう」。沈静化しなければもうひとやまあるかもしれない。(K)※敬称略