★政界の中では「大宝律令」「養老律令」などの法を定め、中央集権を作り上げ、国家の基礎を作ったとされる藤原不比等の名前がしばしば話の端に上る。不比等は自分の娘を文武天皇の妃とし、生まれた聖武天皇を即位させ「天皇の母方の祖父(外祖父)」に収まることで、絶対的な権力を握る仕組みを構築した。これが平安時代の「摂関政治」につながり、皇族以外の人間が実質的に国を支配するいびつな構造を生んだ。「天皇の母・祖父」という立場を利用して絶対権力を持ち、政治を操る外戚(がいせき)政治を生み出し、皇位継承争いで優位な立場を利用した。政権維持は不比等が「日本書紀」の編纂(へんさん)に関わるなどで歴史の改ざんがあったとも言われ、都合のいい歴史修正主義の元祖ともいえる。

★自民党副総裁・麻生太郎は寛仁親王妃信子さまの実兄。仮に信子さまが養子を迎え、養子に男児が生まれた場合、皇位継承権を持つことになる。まさに現代の不比等と言えるというのが自民党内の声だ。また6月8日に麻生側近の衆院議長・森英介は今まで現実的でないといわれた養子案を突如会見で言い出し、養子の子について「男の子が生まれれば皇位継承権を持つ」と一気に皇室典範の麻生家私物化にかじを切った。ここを固めれば皇統のっとりと言われた不比等と麻生は同じ道を歩んでいることがわかる。不比等は701年の大宝律令の制定などで太政官の要職を藤原氏とその息のかかった人物で固める基盤を構築。今後は皇室と政治の両面で「麻生詣で」「麻生へのご機嫌伺い」など同様の懸念が生じるだろう。

★麻生のニヤつく顔が目に浮かぶが、また皇室も蚊帳の外に置かれる状況も陛下を「象徴」とする今のお立場とのズレを国民が受け入れるだろうかということにまで自民党は思いが及んでいるのだろうか。「自民党は憲法改正で天皇を元首にするとしているが、平成、令和と陛下が平和を尊ぶお方というのが気に入らず、言いなりにしたいのではないか」とは政界関係者。それでは旧軍部の思惑と同じではないか。(K)※敬称略