宮内庁が、上皇さま(92)の意向を踏まえて葬儀の在り方について、一般の告別式に当たる「葬場殿の儀」を皇居・宮殿で催す方向で調整していることが2日、同庁関係者への取材で分かった。上皇さまは国民生活への影響を少なくしたいとの考えを持たれており、葬儀の規模を昭和天皇と比べて大幅に縮小する方針で検討が進んでいる。

昭和天皇の葬場殿の儀は1989年2月に神道形式で、皇室行事として新宿御苑で営まれた。国の儀式として、同じ日に御苑で実施された「大喪の礼」には、各国首脳ら約1万人が参列した。御苑は公園を閉鎖し、大がかりな準備が必要となった。

宮内庁は、上皇さまが在位中の2013年11月、葬儀や陵墓について「極力国民生活への影響の少ないものとすることが望ましいのではないか」とする上皇さまの意向を公表。江戸時代初期から約350年間続いた土葬もやめて火葬にするといった簡素な葬儀を希望していた。

また葬場殿の儀に関しては、施設の規模や在り方などを考慮し、「暑さや寒さや、集中豪雨や竜巻などにも十分対応できる場所」を望んでいるとしていた。

規模縮小に絡み、会場として検討されているのは、宮殿で最も格式の高い「正殿・松の間」。天皇陛下の即位の中心儀式「即位礼正殿の儀」も執り行われ、国内外の代表ら約2千人が、宮殿内の廊下などから儀式を見守った。

上皇さまは16年8月、退位の意向をにじませるビデオメッセージを公表。19年4月30日に退位し、翌5月1日に天皇陛下が即位した。退位後は公務を退き、住まいの東京・元赤坂の仙洞御所で、上皇后美智子さまと過ごしている。(共同)