前回は、大腸がんを早期発見するためには、症状が出てから大腸がん検診を受けるのでは時機を逸することがあるとお伝えしました。
通常、大腸がん検診では便潜血検査を行います。便の表面を数カ所スティックで削り取り、1日1回採取し2日分を提出するのが一般的です。微量な、目に見えない血液が混じっているかどうかを調べる検査です。
大腸がんは大きくなると出血することが多いのですが、実際に患者さんが確認できるような血便が出ることはまれです。目に見えないぐらいの出血を調べるために、特殊な方法で採取した便を調べます。
便潜血が陽性と出たら、便に血が混じっているということになります。便潜血が陽性なら、がんは確定なのでしょうか? いえ、違います。
外来に便潜血が陽性と初めて指摘されて来院した方は、まるでがん宣告を受けたかのような非常に暗い表情で現れることがあります。便潜血検査で測定できる血液は本当に微量の目に見えないような血液です。ほんの少し粘膜の傷や、目立つ痔(じ)がない方でも、硬い便が通過する際に血液が混じってしまうことがあります。
検診で便潜血が陽性といわれる方が全体の6~7%、大腸がん診断がつく方は2%程度とされています。ポリープが30~50%の方に見つかりますが、実は陰性の方でも小さいポリープは見つかるので、便潜血陽性の原因が本当にポリープなのかは分からないことも多いです。
全く所見がないことや軽い痔ということもあります。しかし「私は痔だから、出血は大腸がんではない」と楽観せず、検査はしっかり受けましょう。
◆池谷敬(いけや・たかし) 1981年(昭56)9月21日、静岡県出身。浜松医科大卒。2012年から東京・中央区の聖路加国際病院勤務。内視鏡で粘膜下層を剥離するESDという手法で、大腸がんに挑んでいる。

