新潟県湯沢町でスキー場のコース外を滑るバックカントリースキーで行方不明となった男性2人が18日、無事救助された。16日から消息を絶っていたが捜索中の県警ヘリに発見され、命に別条はなかった。近年人気のバックカントリースキーだが遭難者が続出している。国内外で同スキーの経験豊富な冒険家三浦豪太氏(49)に問題点を聞いた。

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バックカントリースキーはスキーと名前が付いていますが実際には「冬山登山」です。冬山と同じリスクがあり、そのリスクを自分で負わなくてはならない。今回、2人の方が遭難された神楽ケ峰は私も滑走経験がありますが、冬山のスキル、装備や経験値などが必要不可欠です。

まず無事に救助された2人は冬山の知識やキャリアがある方だと思われます。積もった雪に穴を掘って中で寝る「雪洞ビバーク」をしていたとのこと。風雪にさらされて体温や体力が奪われることを防ぐのに極めて有効な手段です。万が一のアクシデントに備えて食料を携行されていたこと、自力で脱出できないことを判断して遭難地点から無駄な移動をせず、体力を温存した点など冬山の基本を実践されたことがご無事につながったのだと思います。

バックカントリースキーは世界的にもブームです。今年は雪も多いので国内でも人気になっています。しかし、管理されているスキー場でも事故は発生し、亡くなる方もいらっしゃいます。それが管理されていないスキー場の外ではさらにリスクが増します。単独では絶対に行かないこと。低温下ではスマホのバッテリー能力も低下するので対策が必要です。現地を熟知する地元ガイドや家族や知人など第三者にいつ、どこへ行くのかを事前に知らせるなどしてください。「ここから先は自己責任」であるということを理解してバックカントリースキーを楽しんでください。

◆バックカントリースキー スキー場の外側などにある手つかずの自然や圧雪がされていないエリアを滑るのが人気を集めている。90年代からブームとなったスノーボードの新しい楽しみ方として認知され、スキーヤーにも広まった。バックカントリー用の軽量スノーボードや、新雪でも沈まないように幅が従来の2倍以上あるスキー板も各メーカーから発売されている。