桜田義孝五輪相は25日の参院予算委員会で、24日に地元千葉県・柏市の集会で、東日本大震災の津波被害に関して述べた自らの発言について、事実誤認だったとして撤回した。立憲民主党の吉川沙織議員らの質問に答えた。

桜田氏は24日、被災した沿岸部の国道や県道の開通状況について「国道とか交通、東北自動車道も健全に動いていたからよかった」と述べたが、実際は東北道は緊急車両をのぞき通行止めとなった。この日は「広く国道、交通網ということに言及して申し上げることは事実と異なるので、おわびの上で撤回させていただく」と述べた。

その上で、自らが震災発生後、トラックで現地に物資支援に向かったとあらためて強調し「震災後の輸送の困難さや生活再建の厳しさは理解している」と、言い訳めいたように答えた。「地元の集会で、今後日本のどこかで大規模な震災が発生した際、幹線道路が長期にわたり通行が不可能になる可能性を想定し、対応策を事前に考慮して備えるべきとの趣旨を述べた。今度とも被災地に寄り添って取り組みたい」と述べた。

自身の発言に関する問題にもかかわらず、桜田氏はこの日も、官僚が差し入れたのメモを延々と棒読みし、何度も批判を受けた。「閣僚として失敗しないよう、相手に理解してもらえるようにペーパーを読んでいる」と、開き直ったように答えた。

進退については「発言は正確さを欠いており、大変申し訳ない」とした上で、「一層身を引き締めて担当大臣として五輪、パラリンピック実現に努力していきたい」と、辞任を否定した。

安倍晋三首相は、桜田氏の発言について「今後、発言の正確さには十分留意していただき、大会成功へ情熱を持ってしっかり取り組んでほしい」と、淡々と述べた。事実誤認が甚だしい大臣が復興五輪を語るべきではないとの指摘には、「復興に資する大会にするよう、意義を踏まえ、しっかり職責を果たしてほしい」と辞任させる考えがないことを強調した。