和歌山県紀の川市にある浄土宗寺院「甘露寺」が新たな「恋の聖地」としてにぎわっている。映画が大ヒット中の人気漫画「鬼滅の刃」のキャラクターで「恋の呼吸」を使って主人公らとともに鬼と闘う幹部剣士「恋柱・甘露寺蜜璃(かんろじ・みつり)」の名字と寺院名が同じで注目された。市は寺に掛け合ってPRを強化している。

寺には、甘露寺の髪と同じ桜色の雨戸が設置され、鬼滅コスプレの家族連れなどのフォトスポットとして人気。同じく桜色の御朱印も準備した。住職の山下芳巌さん(71)は「参拝客はほとんどいなかったが今は土日で100~200人くらいが来られるようになりました。一時のブームでもうれしい」と喜んだ。

境内の掲示板には公開中の映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」で人気に火が付いた「炎柱・煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)」の母の言葉も手書きの書で飾られている。「多くの才に恵まれた者はその力を世のため人のために使わねばなりません」と書かれている。

山下さんは漫画を全巻読んだといい、甘露寺蜜璃については「切羽詰まった物語の中では、心の癒やしのような存在ですよね」と笑顔で話した。市は、寺近くの平池緑地公園に「恋」と書いた柱「恋の柱」を建て、こちらも人気だ。【沢田直人】