将棋の藤井聡太名人(竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖=21)が24日、千葉県成田市の成田山新勝寺で行われた第82期名人戦7番勝負第2局で、挑戦者の豊島将之九段(33)に連勝した。

23日午前9時からの2日制で始まった対局は、先手の豊島が相掛かりから「ひねり飛車」もにおわせる前例のない形に誘導した。形勢が目まぐるしく入れ替わる混戦の末、最終盤で抜け出した藤井が開幕局に続いて制した。第3局は5月8、9日、東京都大田区「羽田空港第1ターミナル」で行われる。

本紙「ひふみんアイ」でおなじみ、加藤一二三・九段(84)が対局を振り返ります。

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つかみどころがない将棋でしたが、終わってみればいつもながら藤井名人が見事に勝ちきっていました。

特に目を引いたのは、2日目に入って持ち駒の飛車を1筋に打ち据えた手です。強力な攻め駒を守備に使うという発想に驚きました。と金を払って押し込まれ、結果的に取られてしまいましたが、そのあたりから2筋を中心に繰り広げられた攻防戦は見応えがありました。このほか、玉が早めに逃げたり、終盤4筋に銀を打ち込んで桂を取り、攻めの拠点を築いた手は大きかったです。

豊島九段は、どこでチャンスを逃したのか疑問です。終盤、決め手があったはずでしたが、攻めが切れた感じです。とはいえ、面白い出だしで「ひねり飛車」模様の将棋を久しぶりに見ました。封じ手も耐久性のある手でした。負けたのは残念でしょうが、ここまで2局とも大熱戦で内容は悪くありません。巻き返しに期待しましょう。

(加藤一二三・九段)