将棋の第19回朝日杯本戦トーナメント決勝、藤井聡太6冠(竜王・名人・王位・棋聖・棋王・王将=23)対伊藤匠2冠(叡王・王座=23)戦が11日午後2時15分から大阪府高槻市の「高槻城公園芸術文化劇場」で行われた。対局は、後手の藤井が相掛かりからの激しい攻め合いを制し、3年ぶり5回目の優勝。羽生善治九段と並んで最多タイとなった。初めて決勝に進出した伊藤は、惜しくも準優勝に終わった。
最終盤、1手60秒未満での指し手を要求されている伊藤が頭を抱えた。藤井の受けの妙手で、絶妙の勝負手となった自陣3筋への歩の打ち込みに、思わしい手順が見つからない。一気に形勢が傾いた。「まともな順を指せず、すぐに終局になった」と悔やんだ。
一昨年は叡王、昨年は王座と連続してタイトルを奪った同学年のライバルと、きわどい勝負を演じた。「ゆっくりしていると面白くない。動いていった」。結果的に敗れはしたが、「朝日杯は今まで縁がなかった。今回決勝まで進むことができたのは良かったと感じています」とした。
藤井が史上最年少で公式戦初制覇を果たした8年前の朝日杯の時、伊藤は記録係として同じ舞台にいた。「今でも覚えていますし、その同じ棋戦で藤井竜王・名人と戦えたというのは感慨深いことだと考えています」。3年前の竜王戦で初めてタイトル戦に挑戦した時の相手も藤井だった。負けながら強くなり、背中を追いかけ、ここまで追いついてきた。今回の経験も、今後のステップになるはずだ。

