藤井聡太王将(竜王・名人・王位・棋聖・棋王=23)に永瀬拓矢九段(33)が2期連続で挑戦する将棋のALSOK杯第75期王将戦7番勝負第4局が17、18の両日、和歌山市「和歌山城ホール」で行われ、後手の永瀬が藤井を下した。永瀬はシリーズの対戦成績を3勝1敗とし、王将初奪取に王手をかけた。藤井が19度目の2日制のタイトル戦でかど番に追い込まれたのは初めて。失冠のピンチを迎えた。第5局は3月8、9日に栃木県大田原市「ホテル花月」で行われる。
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障子を開けると、ライトアップされた和歌山城が見える。1勝2敗とリードされた先手番の第4局。激しい攻め合いとなった終盤戦、藤井は自陣に馬を引き、角を打つ執念の粘りを見せた。「絶対に詰まされない」という王者の意地を見せたが、先手番をブレイクされた。
終局後、永瀬のインタビュー中は両腕を組み、盤を見つめた。タイトル戦の7番勝負で3敗目を喫し、初めてかど番に追い込まれたことに「やむを得ないかなと思っている」と言葉少なに話した。
戦型は藤井の得意とする角換わり。研究の鬼と呼ばれる永瀬が序盤に研究手をぶつけてきた。藤井は惜しみなく時間を使い、受けて立った。相手の深い研究を外そうとしたが、持ち時間を削られた。1日目終了時には「当初思っていた以上に後手の手が早いので思わしくないと思っていた」と苦戦の予兆を感じていた。
永瀬をはじめ、トップ棋士は徹底的に藤井をマークし、人工知能(AI)を活用し、研究を重ねている。これまで藤井は実践の中で相手の指し手を読み切り、ねじ伏せてきた。24年叡王戦5番勝負で伊藤叡王に全8冠の一角を崩されたことが、「藤井攻略」の糸口となった。挑戦者たちはさらにAIを使い、対策の精度を上げ、「藤井包囲網」を敷いている。
26年は6冠を保持し、全8冠制覇への再チャレンジがスタートしたが、いきなり失冠のピンチを迎えた。防衛には3連勝するしかないが、「なるべく番勝負を長く続けられるように頑張りたい」と気持ちを切り替えた。【松浦隆司】

