第175回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、都内で行われ、直木賞は朝倉かすみさん(65)の「けんぐゎい」に決定した。
同作は江戸時代を舞台に、あばたのある姉・ふゆ、美しい妹・りよ姉妹の過酷な運命と、女性が自らの人生を取り戻す姿を描いている。
会見では「候補に選ばれた段階でうれしくて号泣した」とし「ピーク感がすごかったので、その後はそんなに…」と振り返った。受賞の連絡は「私の携帯電話ではなく、『朝倉さんの電話がつながらないから』と担当からの電話で伝えられたので、そこからドキドキした」という。
初めての時代小説。「慣れないことばかりで、夢中で好きなように書いた」とした。主人公との共通点について、「あそこまで劇的ではないけど」とした上で、「それまでは多数派だったけど、短大を出て就職しなくて少数派になり、クレジットカードを作れなかった」と明かした。
選考委員の辻村深月さんは、蝉谷めぐ実さんの「見えるか保己一」との「決選投票になった」とし、2度目の投票では「『けんぐゎい』が満票だった」と経緯を説明した。
審査会では、「江戸時代の女性の物語ですが、いろんな世界に連れていかれるような読み心地の小説」と結論付けられた。
その上で辻村さんの個人的意見として、「当時の状況下で、虐げられてどうにもならなかった立場の人や女性の生き方に光をあたえようと、朝倉さんがもがいた結果の光が満ちあふれていた」と評価した。
最後に司会者から「直木賞受賞女性の最年長」と告げられると、「本当ですか!」とほほ笑んだ。
朝倉さんは北海道小樽市生まれ。今回、3度目のノミネートで受賞となった。
◆直木賞 「文芸春秋」を創刊した菊池寛が、前年に43歳で死去した直木三十五を記念し1935年に創設。大衆文学の作家が対象で、同時に誕生した芥川賞は純文学の新進作家が対象となる。選考委員会は年2回。正賞は時計、副賞100万円。第1回受賞者は川口松太郎。(敬称略)

