「タ~ラ~ララ~」

北海道シリーズを締めくくる札幌2歳S(G3、芝1800メートル、9月2日)に、パワーホール(牡、昆、父スワーヴリチャード)が出走します。

馬名由来は「入場曲名」。“パワーホール”と聞けば、プロレスラーの長州力さんの入場曲を脳内再生する方も多いと思います。

デビュー戦は7月30日の札幌芝1800メートル。横山和騎手とタッグを組み、逃げ切り勝ちを収めました。特筆すべきはメンバー上がり最速34秒5の脚を使ったこと。「切れてないですよ」は長州力さんおなじみのフレーズですが、同馬はラスト2ハロン11秒2-11秒1の加速ラップを刻み、非凡な切れ味を披露しました。

過去10年、同舞台で4角先頭で上がり34秒5より速い脚を使った馬は3頭のみ。15年プロフェット(34秒2)、20年バスラットレオン(33秒6)はともに新馬戦でマークして快勝。続く札幌2歳Sを前者は2着、後者は3着と好走しています。

最終追い切り翌日の木曜朝、厩舎で体を洗うパワーホールを訪ねました。「追い切り後も順調ですよ。1回使って競馬をより理解してくれたみたいですし、上積みは大きいですね」と堂本助手。気持ちよさそうに水を浴びる途中、厩舎近くに線路から電車の通る音が聞こえてきました。「最初は『何だろう』という感じで物見していましたけど、今は音を理解したようで全く気にしないですね」と、環境にすぐに順応する理解度の高さを垣間見ました。

メンバーを見渡すと前走逃げ切り勝ちの馬が多く、展開が読みづらい状況。それでも「すごく頭がいい子なので、逃げなくてもやれると思いますよ」と経験値の浅さをセンスでカバーできそう。新種牡馬の父スワーヴリチャードは産駒が早くも10頭が勝ち上がり。混戦模様の種牡馬界に旋風を起こす父の勢いに乗り、パワーホールも“革命戦士”として、世代のど真ん中を狙います。【桑原幹久】