23年は競馬界のターニングポイント!? 東西取材班の現場キャップを務める東京・木南友輔記者と大阪・太田尚樹記者が、年末恒例「中央競馬10大ニュース」を選定した。国内外でG1・4戦4勝、歴代賞金王に輝き引退したイクイノックスを筆頭に、今年は記録や壁を破る人馬が次々と現れた1年だった。

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太田 今年は米国でオオタニサンを応援したのが一番の思い出や。馬券のことは振り返りたくないわ…。

木南 僕もWBC1次ラウンドを見に行きましたけど、オオタサン、競馬の話をしましょうよ。イクイノックスが世界一&MVP(10大ニュース1位)でしたよね。総獲得賞金も22億円超で歴代最多記録を更新しました。

太田 天皇賞・秋の前にルメール騎手から「またパワーアップした」と聞いた時は「ホンマかいな」と思ったけど…ホンマやった。芝2000メートルで1分55秒2のタイムは二度見したわ。

木南 振り返ると、1度も◎を打たないままでした…。22年皐月賞で◎を打ったジオグリフ、今思うと「よく勝ったなあ」と。

太田 穴党には天敵やったよな。来年は3冠女王リバティアイランド(2位)に泣かされるんちゃうか。その鞍上・川田騎手も企画に携わった「ジョッキーカメラ」(8位)の第1弾が桜花賞で、YouTubeの再生回数は200万回超。「お嬢さん」って呼びかけが話題になった。画期的な新コンテンツやったな。

木南 海外でもエポックメーキングな快挙がありました。ディープインパクト産駒最終世代のオーギュストロダンが英愛ダービーを制覇(3位)。BCターフまで勝ちました。英2000ギニーとキングジョージでは大敗して、強いのか弱いのか分からないところもありますけど。来年の現役続行には日本の関係者も驚いてましたよ。

太田 海外でいえば、今年は日本馬がダートG1で大躍進した(6位)のが印象的やったわ。パンサラッサがサウジCで約13億円を稼ぎ、ウシュバテソーロはドバイワールドCを勝利。そして米国最高峰のBCクラシックでデルマソトガケが2着に健闘したからな。

木南 さらには今年亡くなったハーツクライの産駒コンティニュアスが英セントレジャーを勝ったり、ダイワメジャーの産駒ダブルメジャーがフランスの長距離G1(ロワイヤルオーク賞・芝3100メートル)を制したりして、日本の種牡馬の名声も高まりました。今も来年の種付けに向けて欧州から繁殖牝馬が来ているそうですし、今後はキタサンブラックやイクイノックスの子が海外で活躍するかも。

太田 新時代の訪れやな。JRAでは前川恭子調教助手が女性初の調教師試験合格(5位)を果たした。「女性でも男性でも、馬よりは力が弱いので、女性だからできない仕事では全然ないと思います」って言葉は心に残った。女性騎手と同じように、いずれは女性調教師が珍しくない時代になるやろうし、そうなってほしいよな。10大ニュースには入らなかったけど、JRA吉田正義新理事長就任も新たな時代の1つやね。

木南 時代の流れでいうと、福永騎手、熊沢騎手、田中勝騎手と、名手の引退も相次ぎました(4位)。ほかにも関東馬がG1で25年ぶりの勝ち越し(7位)、レーン騎手がタスティエーラでダービーを勝って69年ぶりのテン乗りV(9位)など、ターニングポイントが多い1年でしたね。

太田 俺も何かを変えていかなあかんのかもなあ。

木南 僕はオオタサンに憧れるのをやめます。

太田 もともと憧れてへんやろ! デコピンでもしてやりたいけど、今の時代ではシャレにならんか…。

◆22年の10大ニュースのトップ3 1位「福永騎手調教師試験合格 23年2月引退へ」、2位「武豊ダービーV6 最年長勝利記録」、3位「藤沢和師が定年 JRA1570勝の名伯楽」。