待ちに待った瞬間だ。9年目の川又賢治騎手(27)が念願のJRA重賞初制覇を飾った。

23年6月からまたがるエイシンフェンサー(牝5、吉村)を初タイトルに導いた。自身は26回目の重賞騎乗でうれしい初戴冠。JRA通算121勝目がメモリアルVとなった。次走は状態を見ながら、3月30日中京の高松宮記念(G1、芝1200メートル)を視野に入れる。

   ◇   ◇   ◇

固く握った左こぶしを高々と突き上げた。相棒エイシンフェンサーとつかんだ初タイトルだ。スタンドから響く「おめでとう」コールに、川又騎手は笑顔で応えた。「感謝の気持ちでいっぱいです。ここまで頑張ってくれた馬に『ありがとう』と言いたいです」。安堵(あんど)の表情を浮かべた後、苦楽をともにしてきた吉村厩舎のスタッフと勝利の喜びをかみしめた。

人馬の絆が勝因だ。好スタートを切りながら、先行馬を行かせてスッと中団に待機した。「フェンサーは競馬が上手ですし、せかさず引っ張らず。そんなにプランは立ててなかったです」。初騎乗の23年6月から約1年半、今回で13回目のコンビだった。ためれば切れる。冷静に、武器の末脚を引き出した。「僕自身、フェンサーには期待していましたし、強かったです」。馬を信じた騎乗が記念すべき1勝につながった。

厩舎との絆も実を結んだ。約7年前から吉村厩舎の調教を手伝ってきた。今回で26回目となったJRA重賞騎乗のうち最多の8回が同厩舎の管理馬。恩返しの勝利でもあった。吉村師も「うるっとしました。オーナーにも理解してもらって。うれしかったね。鮮やかでした」と優しい笑顔で人馬をねぎらった。

次に目指すはG1舞台。高松宮記念が視野に入る。鞍上は「ここから先は僕も達成していない領域ですし、馬とともにしっかり歩んでいきたいです」とまだ見ぬ未来を見据えた。春の短距離女王へ、尾張のターフでも“鋭伸”を見せるに違いない。【藤本真育】

◆エイシンフェンサー ▽父 ファインニードル▽母 エーシンパナギア(エイシンサンディ)▽牝5▽馬主 (株)栄進堂▽調教師 吉村圭司(栗東)▽生産者 木田牧場(北海道新ひだか町)▽戦績 19戦6勝▽総獲得賞金 1億4623万9000円▽馬名の由来 冠名+剣術にたけた技能者