21日金曜の浦和競馬場。薄暮開催の浦和はそこまで寒さを感じさせない快適な日でした。この日は偉大なジョッキーのセレモニー。全12Rが終了した午後6時40分過ぎに、トレードマークのピンクの勝負服を身にまとった内田利雄騎手(63)がウイナーズサークルに登場しました。
31日付で騎手を引退する鞍上は、所属する浦和ではこの日が最終騎乗でした。3、10、11、12Rの4鞍に騎乗し、3、11Rの2着が最高着順でした。日本の競馬を46年半に渡って盛り上げた名手のセレモニーに大勢のファンが駆けつけていました。300人以上はいたと思います。
内田利騎手は「心境はとよく聞かれるんですが、すがすがしい気持ちでステッキを置けると思っています。今日のレースに関しても、後輩ジョッキーが本気で乗ってくれてね。手加減してくれるのかなと思っていたけど、ガチでやってくれましたね。今後は、地方競馬教養センターで教官になります。教官としての経験はゼロなのでね。生徒とともに学んでいきたいです。今日はこんなに集まってくれて本当にありがとうございました」と笑いを交えながら感謝のメッセージを送りました。
場内には名手の親族も応援に駆けつけていた。名前はいずれもご本人希望により伏せますが、パドックで鞍上と同じ「桃、胴白星散らし」の勝負服で応援していたのが、鞍上の妹君のご主人でした。「勝負服は兄から直接いただきました。浦和では最後なのでね。こうやって実際に現場に来て、ファンに愛されているんだなと思いました」。妹君は「改めて偉大だなと感じました」と。また、ご息女もレースを見守っていて「父が60歳を過ぎてからは、家族としては何よりけがなく、楽しく、苦痛ではないように乗ってくれることが理想でした。最後まで無事に乗ってきてほしいという気持ちが強いですね。父は熱い人で、馬に乗るときも一礼してから乗る人。私にもそういう教えで、ピアノを習っていたのですが、私も習い事で一礼をするように。父の教えです」とお話いただきました。
ファンを愛し、ファンから愛された桃色のジョッキーは、セレモニー終わりに深々と一礼。すっかり暗くなった夜の浦和でライトに照らされたその姿がかっこいい。いつまでも競馬ファンの記憶に残ることでしょう。本当にお疲れさまでした。【舟元祐二】

