新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せる中、アメリカでは多くの州でマスク着用義務化の廃止など感染対策の緩和が進んでいます。

そんな中、ここカリフォルニア州は先週、「エンデミック(地域的流行)」を宣言してコロナと共存していく姿勢を明らかにしました。感染拡大によるロックダウンが実施されてから来月で丸2年となる中、パンデミック(世界的大流行)からの出口を示したのは全米の州で初めてとなります。

ウイルスとの共存を目指すニューサム知事が掲げる新たな対策SMARTERを伝えるFOXニュースの記事
ウイルスとの共存を目指すニューサム知事が掲げる新たな対策SMARTERを伝えるFOXニュースの記事

従来の変異種より感染力が強いとされるオミクロン株のまん延により、すでにアメリカ人の73%がオミクロンに感染して免疫を持っていると想定されることに加え、3回目のワクチン接種の普及などを考慮した結果、今後は全米規模で社会的な混乱を招くことなく、ウイルスと共存できる可能性を模索する動きが活発になっていくことでしょう。

世界的な大流行であるパンデミックに対してはより強固な対策が必要となるものの、オミクロン株の登場によって、今後は急激な感染拡大があってもコントロールが可能であると学んだことが次のステップへの移行を後押ししています。特定の地域でインフルエンザのように季節的に感染者が急増することはあっても、感染による免疫やワクチンによってウイルスは存在し続けるものの、時間とともに感染の脅威は小さくなるというのがエンデミックの考えです。

規制緩和が進む中でワクチン接種証明書の提示の義務化は今後の論争の一つになってきそうです
規制緩和が進む中でワクチン接種証明書の提示の義務化は今後の論争の一つになってきそうです

新型コロナウイルスそのものが消えてなくならない限り、新たな変異種が登場して感染が広がる現状は今後も繰り返されることになると想定されますが、集団免疫の増加によってウイルスを管理しやすくなることを前提に、経済活動を止めることなく共存する出口戦略をカリフォルニア州は示したことになります。

そして、それはこれまでの対策を完全に廃止するのではなく、ウイルスは強力ではないものの依然として活発な脅威として捉え、共存するための前向きな対策に移行することを目指すものです。ニューサム州知事は、「Shot(ワクチン)」「Masks(マスク)」「Awareness(意識)」「Readiness(準備)」「Testing(検査)」「Education(教育)」「Rx(コロナの治療形態)」の頭文字をとって「SMARTER(より賢いという意味)」と名付けたエンデミック下での新たな対策を発表。ワクチン接種、マスクの供給や備蓄、検体調査の維持による新たな変異種の早期特定、検査体制の維持、誤った情報に対する教育、治療体制の拡充などを目標に掲げています。

その一環として、カリフォルニア州はすでに16日からワクチン接種者を対象に一部屋内施設でのマスク着用義務化の廃止を実施しており、今後は学校での子供たちのマスク義務化の終了も決める予定です。一方で、感染拡大が深刻化した場合は感染率や入院率などに注視して対応することも付け加えており、爆発的な感染が起これば再び対策を強化する可能性にも言及しています。

ロサンゼルスは現在も独自に屋内施設でのマスク着用義務化を継続しています
ロサンゼルスは現在も独自に屋内施設でのマスク着用義務化を継続しています

カリフォルニア州は現在、昨年末からのオミクロン株の流行はピークアウトしており、感染者数が減少傾向にある中でこれまで2年間の経験と知識から合理的な対応に移行する時期としては最適だと言われています。コロナ禍における論理的な次のステップになるのか専門家も注目しており、カリフォルニア州の今後の感染状況次第では出口戦略のモデルケースになっていくかもしれません。

政府から無料配布された自宅で検査ができるキット。検査は今後も要になります
政府から無料配布された自宅で検査ができるキット。検査は今後も要になります

ただ、世界的にみるとまだ多くの地域でワクチン接種が進んでおらず、パンデミックは収束していないのが現状。オミクロンの免疫拡大によってピークアウト後は感染をコントロールできるかもしれませんが、重症化率の高い新たな変異種が出現する可能性も否定できず、世界全体が社会的、経済的に影響が出ないまでに感染が減少するにはまだ時間がかかりそうです。(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)