ロサンゼルス(LA)を襲った大規模な山火事の発生から1カ月が経った現在の様子はどうなっているのか、西部の高級住宅地パシフィックパリセーズを訪れてみました。被害が甚大だった中心部へと続く道路には警察による検問があり、住民や関係車両以外の通行は依然として禁じられています。また、サンタモニカからマリブへと続く海岸の幹線道路も一度は通行止めが解除されたものの、雨の影響で再び土砂災害の恐れがあることから一般車両の通行は禁止されています。

門から向こうは全てが燃えてしまった家
門から向こうは全てが燃えてしまった家

今回は、内陸から海に向かって一時避難勧告が出た隣接する高級住宅地ブレントウッドを通過しながら現場を目指しました。途中、目の前には茶色い山肌が広がっており、被害の甚大さを物語っています。大通りを外れて山に続く道に入ると、ところどころ燃えた家が点在しているのが目に飛び込んできました。

焼け焦げた家の前の木には雨が降ったせいか花が咲いていました
焼け焦げた家の前の木には雨が降ったせいか花が咲いていました

さらに車を走らせると、門だけ残っている家、ほぼ全てが焼け落ちて原型をとどめていない家、焼失を免れた家の隣に広がる焼け野原、ビニールシートで覆い隠された土地、半壊した家など、鎮火後もほぼ手つかずのままの被災地がそこにあります。1カ月が経過し、3日間ほど雨が降った後でしたが、それでも車から降りると焦げたにおいが漂っています。

周辺のほぼすべての建物が燃えたといわれる中心部からは少し離れた場所でも、このような惨状なのだから中はもっとひどいことになっていることは容易に想像ができ、復興への道のりは果てしなく遠いことを思い知らされます。

焼失した家と被害を免れた家が混在する様子が見られます
焼失した家と被害を免れた家が混在する様子が見られます

被災地では火事場泥棒も相次いでいることが報じられていますが、現地では民間セキュリティー会社の車が多く走っており、警備を強化している様子も見られました。筆者の知人もハリウッドヒルズの火災で避難勧告が出て翌日自宅に戻ると、周囲の家数軒が軒並み強盗に入られる被害を受けたと話していましたが、被災地では治安の悪化も懸念されています。また、LAでは12日から14日にかけて今年一番の大雨となることが予想されており、土砂災害の危険もあります。

茶色い山肌を背景にすべてが燃えてしまった家がそのまま残されています
茶色い山肌を背景にすべてが燃えてしまった家がそのまま残されています

パシフィックパリセーズと北東部のイートン地区を合わせて少なくとも29人が亡くなり、1万6000棟を超える建物が全焼した今回の山火事で、2028年ロサンゼルスオリンピック(五輪)の開催を危ぶむ声もあります。五輪は世界に復興をアピールする絶好の機会となりますが、準備は間に合うのか? 再び火災が起きたらどうなるのか? など心配の種は尽きません。報道によると、電気自動車やスマホなどのバッテリーは爆発や出火の恐れがあるため、重機を使ってがれきを撤去する前にそれら危険物を除去する必要があり、その作業にかなりの時間を要しているといい、復興への道のりは見えていないのが現状です。

辛うじて残っている門の前から眺める被災地の様子
辛うじて残っている門の前から眺める被災地の様子

パシフィックパリセーズには被害を免れたもののゴルフ競技の会場となるリビエラ・カントリー・クラブがあり、選手村となるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)も被災地からさほど離れてはおらず、再び同じエリアで山火事が発生すれば影響を受けることも考えられます。一方、LAの山火事の発生は乾燥したところに「サンタナ風」と呼ばれる強力な季節風が吹く秋が一般的で、夏に起こる可能性は少ないものの開催地の変更を求める声なども聞こえてきます。

復興と五輪準備を同時に進めるLAにとって厳しい3年半になりそうです。

(米ロサンゼルスから千歳香奈子。ニッカンスポーツ・コム「ラララ西海岸」、写真も)

美しい家が建っていたであろう光景はもうありません
美しい家が建っていたであろう光景はもうありません