ヘラブナの総重量を競う「第37回G杯争奪全日本ヘラブナ釣り選手権」(主催・株式会社がまかつ)が18、19日に千葉・富里市の「富里乃堰」で行われ、予選を勝ち抜いた35選手(シード含む)が参加した。19日午後から行われた決勝戦は6選手が2時間半を戦い、15尺の長ザオを使い両グルテンで攻めた前山智孝選手(甲南へらの池)が19・6キロ(39匹)を釣り上げ、初出場初優勝を果たした。同選手は日本トップクラスのバスプロ。昨年獲得したバスのビッグタイトルに続き、異魚種のヘラブナでも優勝という偉業を成し遂げた。2位には板平寛光選手(椎の木湖)が入った。

 まさに有言実行だ。前山選手は、昨年宣言した“異魚種タイトル獲得”を、早くもG杯ヘラブナで達成した。「(スポンサーの)メーカーに宣言してとれたので、すごくうれしいです」。会心の笑みがもれた。

 6人で行われた決勝戦では、他の選手が8~12尺程度のサオを使用する中、15尺の“飛び道具”を選択。人より遠くに仕掛けを入れ、両グルテンで攻めた。2時間半に及ぶ戦いは前半から前山、板平、伊藤の3選手がデッドヒート。ラスト30分、前山選手が入れ掛かりの猛攻で混戦を抜け出した。「残り30分は(グルテンの)エアを抜かずふわふわにしたら連チャンになりました」と細やかな工夫で小差の勝負をモノにした。G杯ヘラは今回が地方予選も含めて初挑戦だったが、並み居る強豪を退けて頂点に立った。

 “本職”はJB(日本バスプロ協会)で上位50人に入る屈指のバスプロだ。17歳からバス釣りに挑み、昨年、トッププロしか出場できない「ジャパンスーパーバスクラシック」に初優勝、念願のビッグタイトルを獲得した。そして「別の魚種でもタイトルをとっている人はほとんどいないのでは」と世話になっているメーカーに“異魚種タイトル奪取”を宣言。子どものころから親しんでいるヘラブナ釣りにターゲットを絞った。

 地方予選を1位で突破すると、前週から現地入りし、トレーニングを重ねた。バス釣りで忙しい時期でも月に2、3回。冬場は20回以上をヘラブナ釣りに費やす男が燃えた。「バス釣りではすぐにルアーやサオを替えたりしますが、その場その場でセッティングを変えるのは、ヘラブナ釣りとの共通点」という。また、長時間に及ぶバス釣りの試合で鍛えた集中力も、異魚種競技で生きた。「両グルテンしかできないので、来年へ“飛び道具”を磨きます。アオリイカとかチヌも次々やっていこうと思います」。1つの夢をかなえても、まだまだ挑戦は続く。【高垣誠】

 ◆前山智孝(まえやま・ともたか)1975年(昭50)8月23日、大阪府高槻市生まれ、同市在住。バスプロ。ヘラブナは「MFCウエーブ」所属。管理池でのヘラブナ釣り歴15年。ホームは「王仁(わに)公園新池釣りセンター」(大阪府枚方市)。

 ◆前山選手のエサ 「わたグル」1、「新ベラグルテン底」2、水3の割合で混ぜて軟らかめに作り、硬さを調整しながら使用。

<試合経過>

 2日間にわたり行われた予選は6人1組で6組に分かれて2時間半ずつの3回戦で行われた。初日の18日は前日に降った雨の影響か食いが渋く、3日前に入れた新ベラ(3トン)の反応もいまひとつ。2日目の19日は開始からサオを曲げる選手が続出。各組上位4人が準決勝に進出した。午前9時50分から2時間半行われた準決勝は24人が4人ずつ6組に分かれて戦い各組1位の6人が勝ち抜けた。

 午後1時5分からの決勝戦は西桟橋で行われ、前山、板平、伊藤の3選手がスタートダッシュ。小野、鈴木、堀川の3選手を引き離す展開。チョウチンの伊藤選手、メーターのセットの板平選手、長ザオ、両グルテンの前山選手の激しい争いとなったが、終盤30分で12匹のスパートをかけた前山選手が初出場初優勝を果たした。