東京湾のスミイカが面白い。神奈川・鶴見「新明丸」では、生きたシャコを巻き付けたテンヤバリで誘う。なにしろデカい。通常ならば、11月の“はしり”では、握り拳ぐらいの「コロッケ」サイズばかりなのだが、もうちょい大きい「わらじトンカツ」級なのだ。スミイカ初挑戦の赤塚辰浩記者(53)が、その重さを感じてきた。

 ズシッ! とスミイカがシャコテンヤに乗った感触が伝わった。ベイトリールを一定のペースで巻き上げて取り込む。海面に、真ん丸頭のおいしいヤツがプカリと浮いてきた。

 ここで一気に抜き上げると、「梨汁」ならぬイカスミをブッシャーと吹き散らされる。テンヤをそろりと上げて慎重につかみ、無事収容した。

 取材当日は南西の風が強く、予想外の雨。東京湾・中ノ瀬はうねっていた。それでもスミイカの乗りはいい。当方、初体験ながら、仲乗りの林大地さん(27)の指導で、約300グラムと約500グラムの2匹を確保した。型を見るための重要なアドバイスを、林さんがしてくれた。

 林さん シャコテンヤが着底したら、糸フケを取って、30度ほどシャクります。(リールが)右ハンドルの場合、右手をサオの持ち手よりやや先に添え、テコの原理で上げます。シャクったら、8~10秒ほどかけて底にシャコを落としてください。ユラユラ揺れ落ちて、イカの食い気をそそるイメージですね。底をしっかり取り直して、もう1度シャクった瞬間、スミイカはシャコに抱きつきます。しっかりあおって、そのイカを、テンヤに乗せてください。

 コマセシャクリのように大きくサオをあおるわけでもない。シロギスのアタリ(魚信)を聞き合わせるように手首を返す程度でもない。シャープにあおり、ゆっくり落とす。ベイトリールならクラッチを切り(スピニングならベールを外し)、道糸を落とし込んでもいい。この方が、スミイカにアピールしやすいからだ。

 アドバイスは上々。こちらの誘いにしっかり乗ってくれた。

 12匹をゲットした上、3キロ弱のトラフグまで外道で釣り上げてサオ頭になった大野勝広さん(69)は、「とにかくシャクった。起伏のある海底に合わせて、きちんと誘うことが大事」と話した。

 10月から始まった新明丸のスミイカ、トップで2ケタを記録する日が多い。数は安定している。「今は15メートルほどの浅場だが、これから45メートル前後の深場狙いになる。そうすれば200~500グラムサイズが、最大700グラムサイズになりそう」(新明利勝船長=62)。

 来年3月まで、スミに置けない東京湾のおいしいターゲットは狙える。

 ▼船 鶴見「新明丸」【電話】090・3519・1111。スミイカは午前7時30分出船。シャコエサ船は9500円。追加の生きエサ1匹100円、冷凍エサは無料。女性と中学生以下は乗船代半額。