山梨・精進湖のヘラブナ、元気いいですよ。同湖「湖畔荘」では10月5日、日刊スポーツ「ヘラブナ・グランドチャンピオン大会」の予選が開催される。上位5人が11月4日、千葉・三島湖「ともゑ」での決勝に進出できる。今回の予選、ちょっと変わっていて、5匹重量で競うんです。

水質のきれいな精進湖では、湖面から1メートルぐらい下を悠々と泳ぐヘラの姿を視認できる。気持ちのいいフィールドだ。

紙面上でのヘラ釣り師養成塾「ヘラブナ道場」の師範代・関川康夫さんにサオを出してもらった。

師範代 今の精進湖は夜の冷え込みがあるにせよ、まだまだ、夏の装いが取れていない。ちょっとでもエサが開いてしまうと、ヘラがはしゃいで釣り自体が崩壊してしまう。エサの使い方次第で釣りが変わってしまいますね。

「エサが開く」。ヘラブナはお麩(ふ)に水を加えて、粘土のような「ダンゴ」を作って、ハリに付ける。ダンゴの水溶性が高ければ、すぐにバラけて魚を集める。これが「エサが開く」という状態。また、魚を集めなくてもいいときにバラけにくい状態にしていることを「エサが閉じる」とヘラ界では独特の表現をしている。

気になる予選の競技範囲は、葉山新ロープから本湖の小割ロープまで。今回、師範代は小割に入った。

師範代 この時期は松ノ木下とか店前とか葉山あたりが人気ですよね。なので、あえて小割に入って、宙釣りをしてみました。

今回はルールが総重量ではない。

5匹の重量。ヘラブナ釣りはキャッチ&リリースの日本独特のゲームフィッシュだ。魚体が傷つかないように大事に育てていけば、大型との釣りをもっと楽しめるようになる。

どうしたらいいか。総重量ではなく、サイズの大きい魚だけキープすれば、魚をいためなくてすむ。

師範代 ヘラブナ釣りをしていくからには、魚をどう守っていくか。そういうことも考えていきたい。ヘラの新しいスタイルとして5匹重量勝負。いいんじゃないでしょうか。

師範代は15尺いっぱいの宙。両ダンゴでちょっとヘラの食いが渋かったので、バラケ側の上バリのエサを指先でいじっていた。

師範代 食わせの下バリはエサを持たせたいので、つるんとした付け方で、上バリはちょっとデコボコをつけて開きやすいようにしてみた。ヘラは正直だね。

エサに細工をした直後にサオが弓なりになった。ギュン、としなったサオから風切り音を残して、あがってきたヘラはでっぷりといいサイズだった。

結果、午前中で師範代は24匹を釣った。ヘラの動きは良かったので、どちらかというとエサは「閉じた」状態。

師範代 釣れた魚は35センチ前後で、重さなら500~600グラムというところ。たまに小さいサイズもきたので、5匹重量審査なら計2・5キロをひとつの目安にするといいかも。上位5位までが決勝の三島湖に進める。みなさん、頑張ってください。

決勝の地は、台風15号の影響を受けて、17日の時点で停電と断水の続く三島湖。決勝への切符獲得は、被災した三島湖「ともゑ」を元気づけに行ける権利でもある。挑戦、待ってます。【寺沢卓】

◆宿 精進湖「湖畔荘」【電話】0555・87・2003。10月5日の予選は、受け付け午前5時、スタート6時、帰着・検量は午後2時。検量方法は、予選当日に説明します。参加費はボート料金、入漁料を含んで4000円。ちなみに9月30日までは出舟は午前5時30分、帰着午後5時。おいしい食堂も営業中、釣りをやらなくても、お食事だけの利用でもいいですよ。