東京湾のシーバスが面白くなり始めた。千葉市にある千葉寒川「小峯丸」、川崎市の川崎「つり幸」では、深場へと固まってきた群れをメタルジグで誘う。底まで落とし込んでのタダ巻きが基本。ルアー初心者の入門編としても最適だ。活性が高くなれば、数釣りが楽しめる。大物ヒットの期待も高まる。

シーバスが暴れ回る。80センチ、3キロ級の大物ともなれば、何度もリールから道糸を引きずり出して、ドラグが悲鳴を上げるほどになる。海中で頭を振り、エラを目いっぱい開いて針を外そうとする。そんなやりとりが10分も20分も続く時がある。海面でタモ入れされるまで暴れるから面白い。

この時期の東京湾だと、目指す獲物は水深20~30メートルの深場に固まっている。ポイントは、橋げたなどの障害物周り。60~100グラムのメタルジグを底まで落とし、5メートルほど巻いて誘う。「潮が速かったり、ポイントが深い場合は、重めのジグにする」(つり幸・幸田一夫船長=71)。歩く程度の速さでの「タダ巻き」、全力疾走に近いスピードでの「高速タダ巻き」が基本の2パターン。ルアーにヒットしたら、しっかり合わせて針掛かりさせる。

「シーバスは活性が高ければ高くなるほど、速い巻き上げに反応する」(小峯丸・小峯雄大船長=37)。エサとなるイワシ、アジなどの小魚が慌てて逃げるのを追いかける習性を利用する。活性が高くなると、底から5メートルどころか、10~15メートル程度の宙層までルアーを追う。時には着底したら少し小突いて、いきなり高速で巻く。この変化に反応してくる。

さらにヤル気が出れば、落とし込みの最中でもヒットする。「道糸が急に横走りしたり、穂先がいきなり海面に吸い込まれるので、注意して合わせて」(小峯船長)。

逆にダメなのは、サオを1回シャクって止めたらリールを巻く「ピッチ&ジャーク」のパターン。スルメイカやヤリイカを釣る時のような誘い方、沈めた糸をたるませたり、アクションを入れた誘いには反応しないどころか、群れが散ってしまう可能性すらある。ひたすら巻いては落とすのがいい。

ルアーの色にも基本がある。潮が澄んでいる時はナチュラル系、濁っている時は派手な色。これは海でも淡水でも、ルアーの対象となる魚なら変わらない。

「ピンクや赤金、青などが定番のカラーだろう」と幸田船長は言う。乗船時に、「こんな色が最近よくヒットしている」などと話してくれる。聞いてみるといい。刻々と変化する海の状況に応じ、なるべく多くのタイプを用意しておこう。

釣った魚から情報が得られる場合もある。もし、獲物が口からイワシやコノシロなどを吐き出したら、これに似せたタイプのルアーを選べばいい。

ポイントも限定しやすいし、釣り方も簡単。初心者でもヒットの誘い方やカラーをつかめば、大型を確保できるチャンスはある。シーバス・デビュー、しませんか。   【赤塚辰浩】

<諸注意>

◆バーブレスフック 針に付いている返しの部分は、ペンチでつぶす。こうすれば、獲物は掛かりやすくなるし、自分の指や顔などに刺さっても抜きやすい。傷口は、軟こうを塗るなどして応急処置を。

◆アンダースロー 原則アンダーのチョイ投げ。これで十分、落とし込める。

◆取り込み 必ずショックリーダーまで巻き取るか、手でつかんでたぐり寄せ、スタッフにタモ取りしてもらう。勢いよく抜き上げても、途中で獲物が外れてルアーの針をほかの人に引っかけたりしないため。

◆帽子とサングラス 帽子は頭部を守るため、サングラスは目を守るため。どちらもルアーが当たった場合のことを考え、自らを保護するために必要。

◆用具 獲物の口を挟むクリップ、フックを外すプライヤーは必需品。先端に出っ張りがあるタイプだとフックの付け替えが簡単。

◆持ち帰り 魚を持ち帰って食べる場合、血抜き用のナイフを携行。血抜きはエラブタを開け、背骨に到達するまで刺す。しばらく海水をくんだバケツに入れておき、尾からぶら下げた時、口から血がでなければほぼ完了。これなら食べる時にくさくない。

<釣り宿メモ>           

▼千葉寒川「小峯丸」【電話】043・222・6557。集合午前6時。1日船8500円、午前船7500円。店舗と船着き場が違っているので注意。乗船場所の住所は、千葉市中央区寒川町2の203の3。電車の場合、予約の際に申し出ればJR本千葉駅からの送迎も。

▼川崎「つり幸」【電話】044・266・3189。完全予約制。出船午前6時50分。1日船9500円。女性、子供5000円。駐車場の台数が限られており、グループでの乗車が望ましい。電車の場合、JR川崎駅前の「川崎ルフロン」から送迎バスあり。発車の時間は要確認。