大寒波に見舞われた1月末。その寒波の間をぬって山間部の大型狙いで知られる奈良・宇陀市にある「室生ダム」に、釣行した。午後1時から濁りのあるワンドに入り、食わせ重視で15尺の両グルテンの底釣りで開始。不発も覚悟していたが、1日で水温が最も高くなる夕方に時合を迎え、午後5時の納竿までに35~38センチを4匹釣り上げた。今年初の野釣りとしては、大満足の釣果となった。【日刊FPC・土屋直人】

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この時期のヘラブナは、竿が届かない沖合の深場でじっとしているが、少数のヘラは暖かい水を求めて、ワンドなど流れのない所に回遊してくる。そんなヘラを狙おうと、濁りのあるワンドを探して釣り場を見て回り、上流部に条件の合うワンドを発見した。

午後1時ごろ、沈み木付近を狙うため、15尺の竿で棚2メートルの底釣りで挑戦。ここの餌は両マッシュがメインだが、極寒で小魚もいないと判断して、食わせ重視の両グルテンで開始。中指の爪ほどにラフ付けしたグルテンを反応が出るまで寄せを意識し、少し早めのペースで餌打ちを続けた。

水温が上がる午後4時すぎ、ようやくフワフワと弱いさわりが出た後に、ウキにズルズルとした魚が糸に触れるような動きが現れる。しばらく同様の動きが続いたので、ウキ下を餌が底にはうように変更。餌を自然に流れる状態に近づけた。

すると1投目、ツンと小さいが鋭いアタリ。待ちに待った瞬間が来た。竿を合わせると沖に向かって魚が走りだす。まるでコイかマブナかと思うほどの強い引き。慎重に寄せると色白で、ウロコがきれいな38センチのヘラだった。「これを釣るためにやって来た」と思わせる極寒の中で釣れた野ベラに感無量だ。

その後も時折ウキに、小魚のような動きが出るが、餌を軟らかくしたり、小さくしたり変化をつけながら餌打ちを続けていると、チクっとしたアタリで同型を追加。さらに水温が一番上昇する夕方の時合と濁りが重なり、35センチを追加した。

そして、餌も残りわずかで、ウキを視認するには限界を迎えた午後5時ごろ。ウキが動いた気がしたので、合わせると竿が曲がり4匹目を釣り上げて、笑顔で納竿とした。

極寒の中での釣りだったが、水温が一定になるワンドと、濁りが重なる条件のタイミングに遭遇すれば、この時期の野釣りでもヘラが釣れると再確認した。

◆餌 「新ベラグルテン底」200ccに、水180ccを加え、硬さを調整して打ち分けた。

【今後の見通し】3月までは今回のように濁りとワンドを条件にポイント選択をすると釣れる確率が高い。水位の上昇、暖かい日や暖かい雨後の数日間は45センチ級の実績がある。3月中旬には産卵を意識したヘラが浅場で釣れだし、4月には本格的な乗っ込み期に入るだろう。厳寒期は底釣りがメインだが、乗っ込み期になるとマッシュの宙釣りに実績が高い。

【問い合わせ】釣り事務所鮒屋【電話】0745・82・7255。日券1000円(現場売り1500円)年券6000円(日券は鮒屋前自販機で購入可能)。日の出から日没まで釣り可能。

【交通】名阪国道の針ICを出て国道369号を南下。福地の信号を左折。国道165号を進み、3つ目の信号を右折し室生ダムへ。赤人橋を渡り右折するとすぐのところに「釣り事務所鮒屋」がある。