<心臓・血管を若々しく保つコツ(12)>

 心臓・血管病の予防には、食事が重要。もちろんそれだけではなく、運動も同じように予防に貢献してくれます。国立がん研究センターが行っている「JPHC研究」があります。これは次世代多目的コホート(集団)研究で、昨年はウオーキングの効果についての報告が行われました。

 それによると、時速6キロのウオーキングを1日1時間行う運動強度であれば、大血管病(脳梗塞、心筋梗塞)のリスクを約30%も減らすことが分かりました。

 確かにうれしい効果ではあるものの、なかなかハードな習慣でしょう。日本動脈硬化学会が推奨しているウオーキングは、「1日30分以上、週180分以上」です。1週間に6日、30分のウオーキングを行うことが勧められているのです。また、世界心臓連合は「1日30分のウオーキングを週に5回行う」を推奨しています。

 これらの推奨内容からも、1日30分のウオーキングが健康に良いことが分かると思います。心臓・血管病予防のために、しっかり実践してください。

 ただ、この30分のウオーキングについて、患者さんからよく質問を受けます。「30分続けて歩かないといけないのですか?」。体脂肪の燃焼には、最低20分くらい必要と考えられていました。しかし、その後の研究で、10分程度でも脂肪燃焼効果があることが分かったのです。だから、30分まとめて歩く時間がない人は、10分のウオーキングを3回、15分を2回でも構いません。

 ウオーキングの習慣化が健康に良いので、毎日行うべきでしょう。「健康は良い習慣から」生まれるのです。(取材・構成=医学ジャーナリスト松井宏夫)