延命治療僕はいらない/鎌田實の健康連載

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<鎌田實の人生100年時代をどう生きるか(30)>

★日野原先生の自己決定

 日野原重明さんが105歳で昨年亡くなりました。彼とはその1年ほど前、佐賀で講演をご一緒にしました。亡くなる半年前まで、全国を飛び歩いていました。

 最後、転倒して肋骨(ろっこつ)を骨折し、誤嚥(ごえん)性肺炎をおこしました。初めは入院治療を行いましたが、自宅がいいと自分で決めました。延命治療を医師から勧められましたが、しっかりと拒否をしました。まさにPPK(ピンピンコロリ)です。

 ぼくも病院で死ぬのは嫌だなと思っています。旅の途中で亡くなったら最高。医師から胃ろうを置こうと言われても「お断りします」と書いてあります。

★おだやかであったかな死

 諏訪中央病院の緩和ケア病棟では、入院するがんの末期の患者さんに、かき氷が好評です。食事が全く取れなくなっても、かき氷なら食べられる。

 諏訪中央病院が運営している老人保健施設では、身寄りのない末期がんのおばあちゃんが、若い介護士にアイスクリームを口に入れてもらって、幸せそうに食べていました。死を受容するスロー・ハンド・フーディングなのです。

★望まない苦しい死

 1回だけの人生。1つだけの命。その命が終わるとき、何もしないというのはとてもつらいです。そこでついつい胃ろうを置いたり、人工呼吸器につないでしまったり、老衰なのに、心臓マッサージをしてしまったりするのです。

★最後まで自分らしく

 そんなとき家族が、亡くなる直前の大切な人に、スロー・ハンド・フーディングで、ひとさしひとさし、スプーンで若い頃好きだったものを食べていただく。

 あたたかな日だまりの中で、見守られて、穏やかに納得して人生を終える。そんな終(しま)い方ができたらいいなあと思っています。

 

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