クリニックには小さなお子さんたちもたくさんいらっしゃるのですが、「転倒して前歯をぶつけたので診てほしい」と急患で駆け込んでくることは日常茶飯事です。乳歯であれば、たとえ前歯が欠けたり折れたりしてもさほど心配ないと言えるのですが、小学校に上がる頃には永久歯に生えかわっていることが多いため注意が必要です。
とくにこのくらいの年代になると、男の子がスポーツでけがをする機会がぐんと増えます。手足などに外傷を負った場合、トレーニングなどで筋肉を鍛えれば、ある程度軽減させられます。しかしながら硬組織である歯は、元の状態に戻すことが困難です。自分の力で回復させることが難しい部分ゆえに、早いうちから予防するほかないというのが結論です。
もっともシンプルな方法は、口の中に入れる装置を使用することです。一般の方には「マウスピース」という呼び名がなじみ深いかもしれませんが、専門用語では「マウスガード」といいます。色とりどりのマウスガードをアスリートが装着している姿は、テレビ中継などで目にする機会も多いのではないでしょうか。
マウスガードには以下のような効能があることが分かっています。<1>アスリート自身の歯や舌、唇、顎骨などのけがを予防・軽減する<2>ほかの競技者と接触した際に、歯が凶器になり頭や額などを傷つけるリスクを防ぐ<3>スポーツ時かみしめによる歯のすり減りや破折(はせつ)を防ぐ<4>顎や胴体に衝撃が加わった際に頭部が揺れることで生じる間接的な脳振とうを緩和する<5>下顎に外力が加わった際に顎関節へ加わるダメージを保護する。
こうした予防効果を十分に享受するためには、歯科医師によって製作され適切に調整された「カスタムメイドタイプ」のマウスガードを装着することが大前提です。

