初診で来院された患者さんで、すでにインプラント治療を行っているという方も一定数います。装置周囲の歯ぐきの炎症が見受けられても、患者さん自身は指摘されるまで気づかないことが大半です。
これはいわゆるインプラントの周りに起きた歯周病のような症状なのですが、天然歯に生じる歯周病と同様、痛みなどの自覚症状に乏しいのが特徴です。症状が歯ぐきに限定される比較的軽度なものを「インプラント周囲粘膜炎」、支える骨の破壊が生じるほど重度なものを「インプラント周囲炎」と呼びます。
入れてから1度もメンテナンスを受けたことがないといった患者さんの場合は、すでに手の施しようがないほど進行しているというケースも往々にしてあります。日本歯周病学会が実施した「歯周病患者におけるインプラントの実態調査」の結果によると、インプラント周囲粘膜炎は33・3%、インプラント周囲炎は9・7%見られたと記されています。
高度な技術を備えた歯周病治療のエキスパートである専門医がいる施設での調査ですから、一般のクリニックではもっと高い割合でみられるはずです。
こうした結果を招かないように、自身で丁寧な清掃ができないという患者さんの場合はインプラント治療自体を勧めないようにしています。これがお互いのためだからです。
こうした連載をやっていると「良い歯医者さんの見つけ方を知りたい」といった相談もたくさん寄せられますが、インプラント治療に限らず<1>デメリットやリスクもきちんと説明してくれる<2>専任の歯科衛生士がおりセルフケアの指導をしてくれる<3>治療内容によっては他の医療機関を紹介する姿勢がある<4>口の中だけでなく全身の健康管理も指導している、といった点が私の考えるおすすめの医療機関です。

