中高年の男性を悩ます疾患として患者数が多いのは「前立腺肥大症」や「前立腺がん」です。どちらも認知度の高い疾患です。私は日帰りで行う前立腺肥大症のレーザー手術のパイオニアなので、この連載では「前立腺肥大症のすべて」を知ってもらいたく、今回の連載で、わかりやすく解説していきます。

中高年の男性に多くなるのが“尿トラブル”。その原因として最も多いのが前立腺肥大症です。症状としては「残尿感」「頻尿」「夜間頻尿」などがあります。

まず、「残尿感」から説明します。残尿感は、今トイレに行ったにもかかわらず、尿が残っている感じがする、という症状です。実は、尿が残っている感じがするではなく、実際に尿は残っています。前立腺が肥大すると尿の勢いが弱くなる「尿勢低下」によって残尿感が出現するのです。残っている尿が多ければ、「頻尿」に-。

頻尿とは、今トイレに行ったにもかかわらず、また頻繁にトイレに行ってしまうことを言います。一般的には尿意を催してトイレに行く回数は1日5、6回程度が正常と言われています。それが、8回を超えると頻尿とされます。

この頻尿が夜間にも起きると「夜間頻尿」。夜中に何度もトイレに起きるので、寝不足になり、仕事中に眠くなったりして困ったことも起きます。まさに睡眠障害。夜間頻尿は生活の質をグンと落としてしまいます。夜間頻尿で起こるのは睡眠障害だけではなく、それが原因でさらに困ったことも起きるリスクが高いのです。その困ったこととは-。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)

◆加藤忍(かとう・しのぶ) 医療法人湘尽会かとう腎・泌尿器科クリニック 理事長・院長。1998年(平10)藤田保健衛生大学(現藤田医科大学)医学部博士課程修了。大学病院、基幹病院を経て、2013年(平25)湘南平塚に開業。日本泌尿器科学会専門医、日本泌尿器科学会オフィスウロロジー部門副部会長。Best doctors in Japan2012~2021年選出。日帰り前立腺肥大症レーザー手術のパイオニア。手術患者は全国より来院。学会活動、全国の泌尿器科医師への手術指導にも注力。